あっちこっちへ想いは転がり、やるせないほど空回り。

世界から浮き上がり、まるで灰汁の役回り。

遠回りした二人、これが奇跡を超えた恋物語。

近くにコンビニが一店舗あるかないかぐらいの、絶妙にノスタルジアを刺激する田舎加減。どんな監督でもコントロールは容易ではないはずの「子供」たちの演技の自然さと間（ま）の良さ。八戸土産の雨と土と風と雪と太陽に強い「完璧な帽子」を被って農作業をするばあちゃん。もしかしたら、この農作業中に子供たちが楽しそうに入り乱れるところで映画を終わらせておいたほうが、より多くの観客にウケる作品になったのかもしれない・・・が、「いや待て待て、そんなほのぼの終わらすかい。最後に爪痕残したる」的姿勢こそが気に入った。

ところで、こういう映画がこの先、地上波で放映されることはあるのだろうか。農薬を使用すると頭がスーッと軽くなる→覚醒剤等の連想を避けられないのでアウト。「のうきょう」の農薬管理の甘さ→農協的にアウト。脳みそ→グロいの苦手な人にはアウト。こりゃ、スリー・アウト・チェンジかな。