マンゴールドがこういうコメディ色の強い映画を撮ったのは、『ニューヨークの恋人』以来だろうか。あの頃より格段に巧くなっている。もちろんチミノに及ばないところもあるし、（今作を観て）「そもそも比較の対象にチミノを引っ張りだしてくること自体が間違ってたかも」と自問自答させられた感もあるが、カッティング／編集のセンスはおそらくチミノ以上だ。

トム・クルーズとキャメロン・ディアス、ヴィジュアル的にピークを過ぎた二人の共演は多少心配ではあったが、キャラクター設定が必要以上に若作りしたものではなかったので、チャラ過ぎず渋過ぎずな感じで非常に好感を持った。

ところで気になったことがある。キャメロンの乗った車をトムがバイクで追いかけてくる場面で、キャメロンがバック・ミラー越しにトムが追いかけてきているのを発見するのだが、よく見ると鏡の中の映像は反転していない。つまり、別に撮った映像を反転させずに合成させているようなのである。スピーディなシークエンスなので、おそらくその方が観客にとって見やすい（注視点を左右に行ったり来たりさせずに済む／不必要な混乱を生まずに済む）という判断だったのかもしれない（事実、自分も初見では気付かずDVDで再鑑賞して気付いた）が、こういうやり方は個人的にあまり好きではない。なので、★4に近い★5。