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[コメント] 太陽(2005/露=伊=仏=スイス)

イッセー尾形は良かったが、佐野史郎もよかった。正直言って、他国の重要人物の内面にここまで迫ろうとは思わなかった(成功してるかどうかは微妙だが)。ソクーロフ監督の試みには嫉妬と羨望すら感じる。何故と言えば、日本では永遠にできそうもない対象だから。ある意味外国映画に託すしか方法がないのが現実である。
ジョー・チップ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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皆そのことを認識しているので、この映画はヒットした。また、大多数の日本人が持つ昭和天皇観から、ほとんど逸脱していないと思う。ある意味安心して見ていられる。皮肉な話だが、アメリカで似たような映画を撮ったら、もっと辛辣な描き方をしたと思う。

家族から切り離された彼を、誰も人間と認めてくれない。彼と侍従長を初めとする彼らの間には想像を絶する壁だか谷だかがあるのだが、彼らとて別に非人間的なロボットというわけでもなく、それどころかその挙動は思い切り人間的であり、滑稽である。彼が人と相対すると、大抵漫才のようになってしまう。中でもチョコレートと極光(オーロラ)の件はおかしい。「私はあられの方が好きです。」とか「はい、チョコレートおしまい!」とか流行らないかな?

この映画に登場する人々は大体が気のいい人たちなのだが、長い年月をかけて作り上げたシステムの中に嵌ってしまい逃れられなくなっていた。時間が経つにつれてこの映画のペースに慣れて、だんだん緩い気分になっていくのだが、最後に不意に頭を殴られたような気分になる(史実かどうかは不明)。あの苛烈な『日本の一番長い日』と同じ時間を生きている映画だったのだなと分かる。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] sawa:38[*]

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