[コメント] ウインドトーカーズ(2002/米)
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ニコラス・ケイジの役どころがどういう位置づけなのか判然としない。ジャップを殺す!と言って強引に戦線復帰した割りには、ただうな垂れてとりあえず悲壮な顔つきしてるだけ。ナバホ族監視の任務を仰せつかっても、意見が明確ではない。たとえばここでエンダーズが日本人憎しのあまり、「オメーの顔はジャップそっくりでむかつくんだよ!」とか言ってヤージーをいじめまくるとか、最初は意志の疎通がまったくない、という方がドラマとしては良いのでは?で、まあ色々あって(仔細ははぶく)だんだん偏見がとれて友情を結んでいくというのがドラマの常道だと思うのだが、実際には偏見役の人と理解のある人は別にいて、エンダーズ本人はなんともどっちつかずの役まわりだ。 何を考えてるのかわからないので、日本人憎しにしては唐突に「ドウシタノ?」(笑)とか言うし、何時の間にナバホ文化に目覚めたのか、「こんな任務はいやだ」とかわめくし、すべての行動が唐突。こんな調子なので最後のシーンもいまいち感動できない。 そもそも主人公は誰なのか?最初のシーンからするとヤージーのはずなのだが、エンダーズが登場すると、もうほとんど彼の視点である。ヤージーは彼に教育される立場であり、彼の心の傷を癒す役であり最後まで受身の役回りである。このことはハリウッド映画の性格上、わからないわけではない。白人よりインディアンが目立っちゃいかんという圧力がるのは分かるが、ジョン・ウー監督だからそこのところは何とかするだろう、という淡い期待があったわけですよ。しかしながら、その期待も裏切られ、結局どっちの心理描写もうまく描けず中途半端なドラマになってしまった。 たしかにウー監督独特の映像描写は冴えていて、バスを待つヤージー父子の捉え方からかっこい〜と思うし、爆発のたびに人間が威勢よく吹っ飛ぶのも好みだし、至近距離拳銃突きつけもあるし、チャーリーに投げる手りゅう弾のシーンなどにしびれたりするのだが。また、進軍するたびに十字架の列が増えていく描写も監督らしい(日本軍の拠点に突入したらこっちでも墓の列があった、いう描写が戦争の哀しさをさりげなく表現している)。 「プライベート・ライアン」以降、戦闘描写が異様に長くなっていく傾向がある。それが戦争の現実だ!と言いたいのかもしれない。延々と戦場を映せば戦争を理解したことになるのか?その主張も曲がり角に来てると思う。戦争をやるも止めるも人間の心次第だ!(偉そうでごめん)
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