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[コメント] 火垂るの墓(1988/日)

色々考え、そして辞書を引いてみました。(2002.04.30余談追加)
peacefullife

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大辞林を引くと、「感動」とは、

「美しいものやすばらしいことに接して強い印象を受け、心を奪われること。」

とありました。

果たして、この映画は、「美しいものやすばらしいこと」であるのか。

私的には「感動」という言葉が持つ(広義の)意味には、「美しいものやすばらしいこと」を取っ払った、その漢字が表す通りの「感情を動かされてしまう」というものもあるのではないかと感じます。そういった意味ではこの映画で、私は間違いなく感動してしまうのです。

悲劇というものを、何故人は観るのでしょうか。ロミオとジュリエットなど、非常に不快な思いをしながら、最終的になんとも不幸な境遇を目にし、そのあまりの悲劇に心を打たれ、泪が溢れる。

哀しい音楽を、何故人は聞くのでしょうか。哀しい旋律と悲劇的な音楽の展開に、心を打たれ泪する。

そして私は何故、この映画を何度も観てしまうのでしょう。

それは、もしかしたら逃避なのかもしれません。いや、悲劇的なものに同情し、自分自身の心を洗いたいのかもしれません。もしかすると、悲劇を目にし、自分を慰めたいのかもしれません。理由はっきりとはわかりません。

「なんで火垂るはすぐ死んでしまうんやろ」

せっちゃんの科白を聞いた瞬間に、ダムが崩壊したように、私の目には次から次へと泪が溢れてしまいます。このシーンから、ラストのシーンまで、泪が止まりません。いや、下手すると、一番最初のシーンでも泣いてしまうことがあります。

これは物凄い悲劇です。

ここまで毎回毎回、翌日に目が腫れてしまう程泣いてしまう映画は、この作品をおいて他にはまだめぐり合ったことがありません。

以下完全なる余談(2002.04.30追加)−−−−−−−−−−−−−−−−−−

業界人でなくとも、多少詳しい人なら充分知っていることですが。

映画に出て来る缶ドロは、「佐久間製菓」の缶ドロです。

じつはこの「さくませいか」には二種類あります。

一つは池袋の佐久間製菓(通称イケサク)。漢字の佐久間製菓です。映画に出て来るのはこっちの缶ドロで、せっちゃんの絵の入った缶ドロを発売したのも当然こっちの佐久間製菓です。缶は赤缶で、中身は8種類入っています。「サクマ式」の商標が付いています。

もう一つは渋谷のサクマ製菓(通称シブサク)。カタカナのサクマ製菓です。映画に出て来たのとは違いますが、偽モノという訳ではありません。サクマ製菓の「チャオ」(チョコが中に入っているキャンディ)は、子供の頃めちゃくちゃ好きでした。最近はあまり売ってないんですよね。缶ドロは緑缶で、中のキャンディは11種類入っています。

この二つのさくませいか、元々は一つの会社で、戦後二つに分かれたそうです。因みに「サクマ式」の商標を持っているのは漢字の方の佐久間製菓。

「二種類あるなんて知らなかった」と言う方は、近所のお店でもチェックしてみて下さい。どっちが並んでますか?

以上、本当に余談でした−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(評価:★5)

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