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[コメント] 蛇イチゴ(2002/日)

現代の妙でシリアスな家族の一面。この脚本は痛々しい程に描き貫いていた。若い女性監督の観察眼が鋭すぎる。雪崩で起こる家庭の出来事と、そのはけ口。そして家族の絆。決して甘くない世の中だが…その芯にあるのは温かい気持ち。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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この世の中、嘘八百を積み重ねて生きている人間もいれば本当の自分を隠し通しながら生きている人間もいる。日々の生活に精を出すことだけに必死な人間もいれば、正しいことを生き甲斐にしている人間もいる。そんな家族が突如として崩壊していく様子を細々と、それも隅々まで描いている物語が本作だろう。小粒ではあるが見応えは充分に保証できる。

そんな人たち(ある種の集団)を繋ぎ止めているいるモノは、結局は「絆」であったり「気持ち」だったりするんだろう。ラストの“輝きを放つ”蛇イチゴの姿が、物の見事に物語っていたかのように思う。唖然とする倫子の表情が何とも言えない…(ここでは夜逃げならぬ朝逃げをした父と母の伝言か何かが残されているのかと思った。正直驚いてしまった)

1シーン1シーンが長く、入り込みやすい。後半は明智家に焦点を置き、ラスト数分で山の中へと移動する。多くを語るには場面数なんて関係無いのかも…と思わされてしまうし、1シーンごとが強烈なインパクトを与えてくれる。怒涛の崩壊描写(笑)でも無く、非常に感情移入もしやすい。

やけに生々しい登場人物とセリフの数々。怖いくらいだ。初監督作品にしてこの出来は、合格点だけでは足りないくらい!?…考えてみれば、良い役者陣が集結しているように思える。初主演の宮迫も、物凄く自然体で良い。役者として買われている理由はかなり納得。つみきみほも久々にブラウン管で見たけれど、何か倫子の性格が、あの演技とマッチングしすぎていて怖い。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)chokobo[*] sawa:38[*] ピロちゃんきゅ〜[*]

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