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[コメント] テイキング・ライブス(2004/米)

平凡なサイコ映画にはなるまいという意欲が感じられる作品。奇抜な展開を二転三転させながら繰り出してくるのが良いね。ただ、スコット捜査官の人物像に曖昧な点が多くそれが最後まで消化不良に終わってしまう。ラストは嫌いじゃないが…→
ナッシュ13

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皆さんも絶対に思われると思うが、スコットはマーティンが訪れてくることを察知していたのだろうか?!明らかに説明不足だろう。だってさ、罠におとし入れる為には準備が必要だったじゃないか!「あんまり深入りするなよ」という製作側の恐ろしい声が聞こえてきそうだが、正直無視できません。ラストへの前フリが1シーンでもあるならば、多かれ少なかれ満足感を得ることが出来たはず。まぁそんなラストの展開、着眼点そのものは良いのではないか?

ラストそのものを満足する為の鍵がもう一つある。それはコメントにもあるように「スコット捜査官の人物描写」だ。彼女は田舎育ちの現FBI特別捜査官。地元じゃエリートで通るだろうが、実は孤独な女性なのである。仕事から帰宅しても彼女を迎える者は居ない。その孤独さを少しでも埋めるために、彼女は仕事に励んでいた。帰宅後も事件の資料に囲まれ、お風呂でもベッドの上でも仕事に励む。おそらく、脚本の意図する人物像はこんなところである。しかし、それだけではどうも甘い。孤独なのは解るが、それはあくまでも間接的。コスタ(マーティン)と激しくヤリあう場面でもそうだ。やっと心の隙間を埋められる…というメッセージがまるで伝わらない。これはアンジェリーナ・ジョリーが悪いのではなく、孤独さを描くための直接的な何かが足りないからだ。あと加えて言いたいのは、彼女がプロファイリング能力に長けてるのか、どうも謎である。警察の評価は良さそうだが、その能力がいまいち発揮されていない(あんなプロファイリングはめちゃくちゃ基本的なことじゃないか?)。まぁそういった人物像におけるパンチ力に欠ける為か、ラストの展開はズッシリ腰を据えて観ることができなかったなぁ。

俳優陣は俺からの合格点をあげちゃいます(笑)。アンジェリーナ・ジョリーの作品は多く観ている訳じゃないが、やはりこの人は単独で活躍する女性像にぴったりと当てはまるんでしょうな。ヌードを見せたりと女優魂も感じられるし(俺もおいしい思いしたし)まずは合格点。しかし、それ以上に良かったのがイーサン・ホーク。『トレーニング・デイ』以降、地味な存在になりかけているが(ファンの方すみません)、久々にハジけたイーサンを拝むことが出来た。かなり満足だ。

一応突っ込んでおこうと思うが、キーファー・サザーランドおじさん。この映画ではスパイス的な存在だが、後々考えると彼の存在はまさに「取って付けたかのような」エピソードだ(笑)。という訳で、あまり深く探るのは止めておきます。

OPクレジットは面白い。また全体を通して漂うカナダ・フランス語圏の薄暗い雰囲気(?)が気味悪くてよかった(北欧を舞台にしたスリラーのような感じ)。カメラワークも結構斬新だと素人観ながらもそう思うし、視覚で楽しませてくれる面もある。死体もかなり凝られていてリアリティを追求しているしね。上記の気になる点が無かったのなら、かなり優秀な作品になってたのかもしれない。

(評価:★3)

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