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[コメント] コラテラル(2004/米)

光り輝くネオンも無味乾燥に思えてくる。これが冷酷な殺し屋とリンクし、異様な緊張感を演出するのだ。夜景をバックに2人の表情を捉える映像がグッド。陳腐だが「旅は道連れ世は情け」とはよく言ったもんだと思う。…娯楽映画で頷く俺。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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当初、マックス役に起用されたのはコメディ界の稼ぎ頭アダム・サンドラーだった。自分はこのニュースに仰天し、シリアスなアダムを拝めるのか!?と内心ヒヤヒヤしていたのだが…結局、人物設定云々の理由でアダムは降板。マン監督の判断だったらしい。そして新たに起用されたのは『アリ』にも出演していたジェイミー・フォックス。比較的スムーズにキャスティングされたのでは?と思う。そしてこの起用が大正解という形になる(あくまでも私見で)。ただ、ここで忘れてはならないのはフォックスもスタンダップコメディ出身の俳優ということであり、アダムとフォックスでは何が異なってくるのか?ということである。それも見逃すことはできない。

この映画は当初のNYから、LAへと舞台変更がなされ、夕方から明け方(?)までの一部始終が凝縮されている。正確な時間軸は解らないにしろ、明らかに人通りが少なくなったり、クラブシーンがあったりと大よそであるが時刻の予想ができる。とにかくLAを疾走するシーンが多い為、LAの街中を体感したことのある人はこの材料だけでも十分見ごたえがあったのではないか。

日本でもそうだろうが、タクシーの運転手は常に危険を伴う。マックスは勤続12年の運転手であり、LAをホームタウンだと言い張る。そこへ現れるのは、ある意味で部外者のヴィンセント。「ちんけな街だ」と言わんばかりのヴィンセントにマックスは苛立ちながらもタクシーを発進させる。両者のLAへの見方が面白く、一見単純だが実は複雑な人間関係というものを上手く描いていると思う。それも街の裏の顔が垣間見れる「深夜」を舞台に。。

そして物語は程好い抑揚をもたせつつ佳境へと突入する。ラスト、2人を待ち受けていたのは明と暗。「複雑」の塊としか思えないヴィンセントはLAという街にのまれ命を落としていったといっても過言ではない。それほど、舞台設定には意味があった。マックスはこの部外者から多少なりとも刺激を受けたはずで、LAの街を新たに把握しつつ、彼の最終目標へと向かうのではなかろうか。

(評価:★4)

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