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[コメント] フリック(2004/日)

虚構と現実への挑戦。そしてあくまでも「誠実」に描き貫く意欲作。寒々しい苫小牧を映す固定カメラと、村田の心理を表現するえぐるようなカメラワークのギャップこそ作品の本質だろう。答えなど求める前に、真実とは計り知れないものなのだ。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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猟奇殺人をめぐる一連の事件の謎を究明するストーリーとしても、一人の堕落した刑事が闇であえぎ、そして最後には救われるというストーリーとしても、とても多面性のある秀作だと思う。

「謎」はやはり「謎」であって、その大きな壁を乗り越えないと「真実」には辿り着けないという監督の姿勢(前提)があるのでどうしても作品を理解するまでに時間がかかる。鑑賞者にとって不利ともいえる妄想描写に何を感じるかが肝でもある。そうした意味で第2章に突入してしばらくは悶々とする時間をすごした。しかし、その妄想の繰り返しが、まるで作品の本質を諭すかのようなメッセージとも思えてくる。実はこの幻想的なストーリー展開にしても、長回しにしても、妄想を演出するカメラワークにしても、そして154分という大長編にしても、根底にあるのは監督が送る「誠実」あってこそで、作品を読み取る・感じる時間を与えてくれているのではないだろうか。

私個人としてはハッピーエンドであってほしい。そう願うだけだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)NOM ぽんしゅう[*]

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