[コメント] ベティ・サイズモア(2000/米)
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いや、素敵な役者ですよ。キニアさんは。
カンヌで脚本賞を受賞しただけあり、その奇想天外な脚本は確かに面白いものだった。「憧れのあの人」が、現実と仮想において混同しまうなんてさ。誰もが1度は妄想してしまうであろうことではないか(笑)。この作品において、その矛先は昼ドラの主演俳優(TV俳優)に向けられるのだ。しかもだ、イメージにピタリと当てはまるグレッグ・キニアが演じているとなれば期待せずにはいられなかった。
……どうもおかしい。深い感情移入がまるで出来ない。ベティの心理描写に不満は残らないし、ジョージが何を狙っているのか十分に解るのに。そう、おそらくは殺し屋2人の存在が、この作品をひっちゃかめっちゃかかき回していたのである。演技派モーガンおじさんとコメディアンあがりのクリス・ロックという奇妙な組み合わせに最高の魅力を感じるのだが、いささか彼らの目的が半端すぎて困ってしまう。話の前提に「夫が殺害されるのを目撃した為のショック状態」というものがあり、それでいて彼女が行方をくらまし、彼らは彼女を追うハメにあるのだから…殺し屋の展開を無視できないのである。無論、それがロマンチックさを半減させ、笑えるコメディな面を高めているのだ。それは十分解る。しかし、「殺し屋が殺し屋である理由」のような余計なエピソードがあったり、モーガンがベティに対する想いを膨らませてしまったりと、そんな場外での出来事が物語を混乱させてしまっている。ベティやジョージの存在をフラつかせている。勿論、殺し屋の存在だって話の筋に置かれているのだろう。ただ自分は、それを感じ取ることが出来なかった。ただただ余計なのだった…。
ベティ個人の結末としては最高の形で終われたので一安心。ジョージも改心というか、ひとまず役者としての壁にぶち当たってくれたので…まずまずのエンディングだった。
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