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[コメント] SPACE BATTLESHIP ヤマト(2010/日)

佐渡先生を泉谷しげるに脳内変換しながら観れば問題無し。
てれぐのしす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







キムタクはいつも通り。以上!

池内博之は華奢そうな体躯であの豪傑斉藤をよく演じきったけど、あの役柄を彼はおそらく真摯な姿勢で「勉強」したのだろう。しかしこの映画を勉強も何も「皮膚感覚」で自分に要求されているものを理解し、とにかく頑張ったのは柳葉敏郎と緒方直人であり、この二人はこの映画の仕事が来たとき、台本の本読み以前に自分の胸に青と緑のイカリマークがそれぞれイメージできただろうし、柳葉に至っては、自分が真田役と聞いて、起爆装置のスイッチを入れる瞬間の、真田の鬼気迫る笑顔までシミュレーションしていたことだろう。

時代は違うし、映像表現の技術も違うし、配役の性別も色々とフェミナチな大人の事情もあるだろうが、全般に30年も昔のアニメであるオリジナルへのリスペクトは確かに感じた。「コスモタイガー部隊」かと思ってたら(それでも良かったし)「ブラックタイガー部隊」だったのは恐れ入ったわ。

オリジナルのヤマトのエピソードや細かいマニアックなセリフ回しや演出は、取ってつけたようなぞんざいな感じではなく丁寧につないで一つの完結した作品に持って行こうという姿勢、これは結果的に、柳葉や緒方だけでない「オリジナルを肌で知っている世代」の心の琴線を確かに振れさせたはずである。そして、おそらくこの映画に対する最大限の賛辞として、「覚悟していたほどは悪くなかった」という評価につながっている。

そしてこの映画において、重要なポイントは「戦死者をちゃんと描いた」ところにある。これは「死んだはずなのに生きていた」ばっかりの最近の漫画やアニメでは忌避される手法であり、それまでヤマトの中で笑ったりいがみ合ったりしながら戦場の死線を越えてきたキャラクター達が次々と死んで行くシーンは、わかっていてもぐっと来るものがある。実際一緒に観た娘が「初めて映画でマジで泣いた」と言っていたのは、白兵戦でアナライザーが敵兵の軍団相手に孤軍奮闘しながら「古代サン!…カナラズ!」と叫びながら遠ざかるシーンだったそうだから。「ワンピース」世代にはショッキングなシーンだったろうな。

とりあえず、「だってキムタクなんだもんなあ」で観るのを躊躇しているおぢさんは、騙されたと思って観ることをお勧めする。「ちゃんと作ってる」から。あと高島礼子ね、たぶん相当プレッシャーを感じてたんだろうなあと言う緊張が画面から伝わって来たので許す。まあぶち壊しはしなかったのでいいです。

しかし、一番納得が行かなかった点を最後にひとつ。

佐渡先生を高島礼子にした感覚で、森雪をブラックタイガーのパイロットにして、しかも古代に救出にまで行かせたんだとしたら、はっきり言ってガミラス本星での戦闘で、古代をかばって被弾して、コックピットから笑顔で古代に敬礼しながら特攻して死ぬべきだったのは山本じゃなくって森雪である。

(評価:★4)

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