とにかく全編を駆け巡る下品で気持ちいいくらいにゲスいセリフのやりとり。そして二階堂ふみによる「最っ低！」の呟き。これを観に行くだけで1800円の価値は充分にある。

正直彼女はアテにしてなかった分意外だったのが、二階堂ふみの大熱演である。よく彼女が比較される若き日の宮崎あおいだったらおっぱい出してたかもしれないけどそれはまあいいとして、とにかく体当たりである。ファッション誌から嫌々異動してきた写真週刊誌（というか福山扮する都城）に嫌悪感丸出しの小娘から、次第に記者に変貌していく様を実に丁寧に大胆に演じている。深夜の編集部で滂沱の涙を流しながら、自分が撮った写真をもとに記事を書くシーンは鬼気迫るものすら感じさせた。都城の最期を目の当たりにした上、その瞬間を自分がカメラに収めたという事実に、心が壊れてしまいそうになりながらも、たぶん「次の瞬間記者は目撃した！！」みたいなゲスい文章を書いてたんだろうなと思うと観てるこっちも胸が痛くなった。

R12指定なのを承知で出た福山、二階堂、そしてリリー・フランキーの狂気。この映画たぶんあまり当たらなそう（僕が観た新宿バルト9は公開翌日なのに空席が目立った）なんだけど、この三者の組み合わせをもっとも「ヤバイ形」で完成させた映画はもう出てこないよ。

じゃあなんで4点なんだって言えば、ここまでゲスく仕上げた映画なのに冒頭のカーセックスのシーンが唯一大味で作り物っぽいのだ。ここまでやるならAV嬢用意すれば良かったのに。