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[コメント] 里見八犬伝(1983/日)

隠れ題名は「JACと豆の木」。リトルジャッキーチェンこと真田広之が師匠サニー千葉を越える勢いと、薬師丸ひろ子がアイドル映画のプロを目指した勢い。天に伸びる速度が速すぎる、その二つの豆の木の弦が小気味良いテンポの映画によく栄えること栄えること。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







生ぬるいぬるい『修羅雪姫』、内容と演技が痛い『モーニング刑事。抱いてHOLD ON ME!』『ピンチランナー』、これまた内容が演技が痛い『20世紀ノスタルジア』etc..なんか目じゃねえ。これがアイドル映画の見本というものですよ皆様。演技と内容とネームバリューの三位一体がとれた映画こそアイドル映画なのです。

で、間違いなく[深作欣二リスペクト]と題した、深作作品のオールナイト上映の中盤(非常に眠たい時間帯)に眠気吹き飛ばし映画として登場すると思う。ま、それはともかく、この作品を久々に見返したところ凄く良かった。大概二度目は面白くなくなるのだが、いい具合に記憶が抜け落ちていたのか楽しめまくり。

オープニングがアース・ウィンド&ファイヤーらのアルバムカバーを手がけたイラストレーター、長岡秀星さんの作品を彷彿させる、または長岡秀星さん自身が手がけただろうアノ絵!あの絵によって映画の5割が完成したと言っても良いぐらいに、アノ絵はこの作品に、進むべき道筋を付けた。

デンパ系も一般人もごちゃ混ぜだった時代を色濃く反映して、来るべきバブルに備えているかのようなセットと役者陣にフォースを、アノ絵が与えたのだとデンパ的に想い感じる。

そしてそして、なんと言ってもテンポの良すぎる、まさにファンタジックな展開から深作欣二監督の前例に囚われないメガホン裁きが漲る漲る。確かに粗い箇所もあった。あったけど、だが、多少強引な粗があろうとも、そこは深作監督が日夜研究培養していた任侠映画の撮影手法で巧みに、映画的にOKな作りへと変貌させていく。

深作監督は深作組を、(「弱った脳に侵入しやすくするため」などのために)深夜作業組にし、スタッフ役者に催眠をかけるのが上手だったんだろうと見ててつくづく思った。じゃないと音楽にNOBODY、佐久間正英、難波弘之は集まらないって。

よって、この作品は一重に深作版フリーメイソンの結晶であり、深作ファン(ギャバンファン、薬師丸ファン、真田ファン、JACファン、千葉ファン等を含む)をトリップさせてしまえる映画であった。

あと、個人的に、8つの玉である“仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌”ではなくて、見終わってから“深作・薬師丸・真田・千葉・夏木・京本・ギャバン・萩原・・・(割愛)”の、無量大数個の映画の宝玉を手に入れた気分でした。

いやぁ、久々に映画とチャネリング出来て幸せ…。

2003/1/28

【長岡秀星】 [http://www.nitoushin.com/nagaoka.htm]または[http://www.synforest.co.jp/artists/shusey.htm]

(評価:★5)

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