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[コメント] 県警対組織暴力(1975/日)

「マイナス(菅原文太)とマイナス(松方弘樹)を掛けたらプラスになるところに、マイナス(梅宮辰夫)を注入したがために社会全体がマイナスに転じてしまった」をテンポの良い展開で映画化してしまったら、見てるこっちとしてはジャーナリストと映画人に無条件降伏です。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







商魂たくましくなる前の暴力団が、ある程度の地域浄化の一員を担っていたことは周知の事実、と、今日の法規制と「権益とは何か」を知った警察権力の一心不乱が、地域社会をスクラップにするだけしてビルドをしない社会の誕生の対比。思いっきり、『赤線地帯』や『にっぽんぱらだいす』らが問題提起した問題とダブる。「一体体制側は何を見て判断しているのか」の意味不明な動機と行動の狭間に、菅原文太さんを転がすことで映画の親近感と、当時の日本が置かれている立場が世間様に向けて赤裸々に映し出しており、キングオブ好印象。

深夜作業組組長の深作欣二の意図がどこにあろうと構わない、構わないが確実に社会が社会に対して言いたいことがリアル描写に具現化されていて、見ていて胸が痛む思いさえしてしまう。ラストの死に往く姿の終わり方といい、悲劇でありながら、永遠の今日的問題を孕んでいる息が永い作品に対して敬意を表さずにはいられない。

2003/1/11

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)sawa:38[*] 町田[*] ジョー・チップ

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