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[コメント] 誓いの休暇(1959/露)

無情な時代に、親切で礼儀正しくて愛情豊かに育った素晴らしい人物の素質を備えた青年の、あたふたする様が焦れったいが、愛らしい。彼が頑張るたびに、その対極の戦争の残忍性がクローズアップされていく。見終わってからジワジワと感情がこみ上げてくるのが心にトドメを刺す。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







満点のハッピーエンドに終わらず青年が死んでしまった結末に、ソビエトが戦争で失った国民の数を物語っている。何が何でも生きて残る主人公というのを前提に、観客本位マーケティング本位に陥っている現代の映画界を流れる思想に、相反する流れなのだが、ハッピーエンドで終わらないところに、死者を尊ぶ生存者の想いが反映されていているようで、見ていて納得の結末であった。彼の勇姿は偉大であり、この彼彼女のような人々が大多数を占めていた事実を後世に受け継がせていきたいと感じた。

この映画で思い出したのだが、映画でもドラマでも、「主人公を死なせるな」と苦情を寄せる人間がいるそうだが、ただただその人が、その背景を理解していないことが悲しい。テレビ局とかじゃなく「主人公が、登場人物が死なない世界にしてくれ」と各国のお偉い方々、国際機関や、自分で世界に働きかけるようになれば、主人公不在の終わりを告げる映画は今以上に光り輝くだろう。

まだ輝きはくすんだままだということに気づくのはいつ?

2002/12/25

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)りかちゅ[*] ドド[*] けにろん[*]

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