[コメント] 欲望(2005/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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表面的に分かれば、相手も自分も互いに互いを気遣いあって接する事が出来る。表面的に分からなければ、傷付くのも気を使うのも、障害がある方だ。 日々、傷に塩を塗られているようなものだと思う。癒える事の無い傷。
それが先天的なものならまだしも、後天的だと尚更の事だろう。術を身に付けようにも、置かれた状況を受け入れ順応するのは容易ではない。
正巳(村上淳) が性的に不能と重々分かっていながら、「もしかしたら・・私なら…(出来るかも&救えるかも)」 と本当に切に思う気持ちと、 抑え切れない性欲とが入り混じった類子の気持ちを 板谷由夏 がリアルに体現。
ホテルに行った事、試してみた事。結局遅かれ早かれああゆう展開になってしまうんだろう。 けれど本作では、類子側から・・な流れに見えたので、同性として類子の気持ちは分かるけれど、自分本位ではなかろうか?それがどれほど残酷な事か… と、悲しい気持ちになってしまった。
けれど、何が、どんな選択が一番良かったのかなんて、きっと誰にも分からない。
正巳(村上淳) が、三島由紀夫 愛読ってゆーのもまた、感慨深い。
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正巳の役を 村淳 が演じるにはちょっと無理があったかな。ストイックな感じで決して悪くはないんだけれど、正巳の苦悩は相当なわけで、 それを体現し切れず、グッと伝わってくるモノが足りないと言うか…。まだ青い感じ、惜しい!
板谷由夏 は等身大と言った感じで良いんですが、神妙な面持ちだけはちょっとわざとらしい大袈裟な印象を受けました。 『運命じゃない人』 とはまたガラッと役風が違い、最初は同一人物と分からない程だったので、芸幅の広さを予感させる注目女優さんです。
高岡早紀 なんて見るからに、歳の離れた夫が居て裕福な暮らしをしているんだろうけど、心ここにあらずの自分の世界の中で生きてるような、 惚けた感じが素敵!イイ女になりましたね。保坂尚輝 と結婚した頃はどーかと思ってましたが、ここ数年の色香と言ったら!
津川雅彦 はもうズルイです。貫禄あり過ぎです。どーしたってサマになってしまいます。と、思っているのですが、実際どうなんでしょう? やっぱりそうなんでしょうか?それともそんな風に演じているのでしょうか?
大森南朋 は、今回は脇役でしたが、充分存在感ありました。佇まいだけでその時々を表現出来てしまうなんて凄いと思います。 別れ話を電話でする際、向かいの棟に佇む姿。ドアの前で類子を待っていた時の佇む姿。公園での佇む姿(一瞬だけど)。 正巳と会った後、アパートに戻った類子の部屋の前に、能勢(【大森南朋) が待っていたシーンは、状況のせいもあるだろうけど、相当胸キュンものでした。 理性と痴情の間の表情に色気を強く感じました。
05.11.@シネアミューズ
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