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[コメント] ぼくんち(2002/日)

故郷(現在住んでいる場所)はこんな風景じゃないのに、なぜか懐かしい。 2003年5月11日劇場鑑賞
ねこすけ

タイトルの『ぼくんち』とは、家そのものではなく、故郷の事を意味しているのだと思う。「故郷を憎め、愛すな」。それが、一太のその後の人生に必要な力(?)であり、彼は金持ちになる為に島を出た。その姿は、妙に俺の姿に似ていた(えっ?美化しすぎ?)。

原作は読んでいない。存在すら知らなかった。映画以外の事にあまり縁の無い自分は、たまに漫画を読み、たまに小説を読み、音楽はサントラかラジオで流れている最近の音楽を軽く聞くくらいだ。だから、原作の存在など全く知らなかった。ただ、監督目当てで見に行った様な物だ。

友人が観月ありさを「うるさい」と言っていた。それは『ナースのお仕事』イメージが定着しているから無理も無い。しかし、自分は彼女には期待して居た。そして映画を見て見事に期待に応えてくれた。彼女はアイドルの殻を脱ぎ、いっぱしの女優となっていた。だから、この映画を観ている時、一度も「朝倉いずみ」の姿はオーバーラップしなかった。

彼女の成長(?)した姿のお陰で映画をすんなり受け入れる事が出来た。

さて、映画はどうも・・・。何を言いたいのか少し曖昧だった。「人生」について必死に描いている感じもするし、所々はっとするシーンもあり、よくわからないが、何か伝わってくる。恐らく俺の頭が悪いだけだろう。この映画は、あの親子、兄弟を通して「笑う」「泣く」「それが人生」と訴えている気がする。「世の中金や」。その冷めた台詞の裏には、やはり愛情が詰まっているのか・・・。

何か不思議な感じがする。理解しきれて居ないのに、クライマックスでは心が熱くなり、オクラホマミキサーのシーンの切り替えの連続には思わず息を呑み、何かを感じ取った。見終わった後も爽快な後味で、心が温まった気がする。回りに住んでいる人間(脇役たち)や、島の風景、波の音、そして「幸せ」。

もう少し大人になってから再鑑賞したい。そうすればもっと面白く感じるはずだ。しかし、今見ても十分面白かった。完全に理解しきれたわけではないが、何かを感じた。映画の言わんとすることを。時代に取り残された島で、人生に「負け」た登場人物が繰り広げるドラマと、彼らに影響を受けながら成長する「兄弟」。彼らは島を離れた後、どうなるのか。素朴な田舎風景によって、より一層余韻が深まる。

それが坂本監督の手腕なのだろう。

(評価:★4)

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