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[コメント] 蛇イチゴ(2002/日)

なんだかラストに納得いかず。 2003年11月16日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







全体的に細かいつぎはぎの編集や派手な演出をせずに、地味に小粒に見せながらも、あの軽快な前半のテンポは良かったと思うし、日常の描写が上手い。とにかくこの映画はリアルだった、と思う。「あぁ〜居る居る、こんな奴」って感じに見れたし、本当にあの家族に温かみを感じられた。

兄が戻ってきて、爺さんの葬式からの家庭の崩壊など、高すぎないテンションでさらりと見せきる手腕はたいしたものだ。だが、どうもクライマックスに近づくに連れて次第にテンポが悪くなり始めるのが残念。

プロットは面白いのだが、作品自体があまりに小粒すぎる為か、作品にメリハリがなく、クライマックスに盛り上がりを感じられない上に、急に展開が下手になったようにすら思えた。もっと早いテンポでやっていればより面白くなっていたと思う。

撮影とかもたいして目を見張る物はなく、本当に小粒な日本映画という印象が強い。脚本がこれだけ面白いのだし、もっとテンポを早くしてやってくれたら良いのに。そうすればラストの納得のいかなさに伴う不満も少しは減るのではないか、と思う。

で、ラストは結局、お兄ちゃんの最初で最後の「正直」という終わり方なのだろうけど、あれでよいのだろうか?その後、あの家族はどうなるのだろうか?

なんだか中途半端な幕切れに納得できず・・・それでも、日常風景の描写は見事だし、前半の軽快なテンポの展開は良かったと思う。問題は後半の失速と、メリハリだ(起承転結をあまり感じられなかった)。

監督自身は小粒な作品が好きそうだけれど、それでももう少し派手にしても良いのじゃないか、と思う。これだけ観察眼が鋭い人で、しかも前半あれほど軽快なテンポで演出できたのだから、もっと良い映画が出来ると思う。脚本さえ揃えば・・・

これを言うと失礼かもしれないが、この映画、どこか脚本のよさに頼りっきりな気がしてならない(でも初監督にしてはかなり上出来だとは思う)。

今思ったんだが、この映画のラストが納得できないのってあやふやなのもあるけど、クライマックスで話が兄妹を描く事に終始してしまうからじゃないかな?監督の意識がそっちに飛びすぎで、ストーリーの核となる「家庭の崩壊」がそっちのけになっちゃってる。

あと序盤の学校で水槽当番の子に「嘘つきはダメよ」と説教するシーン。あれはラストの兄貴とかぶせてあるんだね。嘘だ、と決め付けてみて居ると正直(兄貴で言うとラストの蛇イチゴ)が見えなくなるよ、っていう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)sawa:38[*] fedelio

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