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[コメント] 25時(2002/米)

ラストに非常に不満。ふざけんな。 2004年4月25日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







えーっと、スパイク・リーの映画はこれが初体験で、俺はバカなので良く分かりませんけど、とりあえず政治思想云々以前に、このラストはどういう事でしょうか?

要するに、麻薬ディーラーやってて金持ちの坊ちゃんドモをラリパッパにして良い生活してきた人間が、最後の24時間+1時間の間に、親友や恋人、親父や仕事の相棒のロシア人やその元組織との対話とかを通して、数々の感情を描き出すドラマで、この映画の主人公モンティことエドワード・ノートンは、この24時間の間に必死に悔恨を続け、「あぁ俺は人生を台無しにしてしまった」と一人落ち込み続ける。

その苦悩はしっかり描かれている。脚本演出と役者が見事に噛み合った瞬間に生まれる素晴らしさだ。だけど、その24時間に自らのやった事を悔い改め、トンネルの所で「俺の顔をボッコボッコにしてくれ」と刑務所でゴツイ体格でタトゥーしまくった野郎ドモにカマ掘られない為に、自らの二枚目フェイスを台無しにしてもらい、準備ばっちりで恐怖の刑務所へ入る決意を固める。が、しかし最終的に彼は田舎に行き、第二の人生をスターとさせる。

確かにその第二の人生は、一見楽そうに見えるが、壮絶なモノで、毎日正体がばれるかもしれない、と言う恐怖を感じながら過ごさなければいけない。そして、彼は最終的に(親父の作った人生プランを映像化しただけかもしれないけど)家庭を持って幸せに暮らし始める。確かに最終的に自分の正体を明かさなければいけない、と言う残酷な現実があるのだが、これはハッピーエンドに他ならない。

今まで、例えそれがアホでボンクラの糞ガキどもだったとしても、違法な手段で金を巻き上げて、さらに人を下の下まで堕とした人間が、ぬくぬくと田舎で平和に暮らしている姿には、疑問を感じる。

ここで必要なのは、刑務所に送られ、囚人ドモにボコボコにされながらカマ掘られ、歯をボロボロにされてフェラチオマシーンにさせられ、看守にいびられ、毎日糞みたいな飯を食いながら労働を強いられる世界を描写し、そしてその世界に耐え抜き、遂に解放された時、刑務所の外には誰が待っているのか、と言う終わり方にすべきだと思う。例えそれがありがちな終わり方だとしても。

確かに田舎で平和に暮らしてるからと言っても、罪を背負って生きている事に変わりは無いのだけど、こんな甘い終わり方じゃ納得できない。アレか?瀕死の犬を助ける様な心の優しい人間は、罪を犯しても、それを背負い、堅気で生きなければいけないとでも言うのか?法律って何の為にあるんですか?何?そういう問題じゃない?

じゃ、真面目に刑期を終えても社会に順応できず、自殺するしか出来ない様な人はどうなるんだよ。確かにこういう奴も実際に居るかもしれないし、田舎で罪を背負って生きる、と言う生き方も精神的には辛いモノかも知れない。でも、だからって逃げていいもんじゃないだろ。

作品としては二時間半近くある映画で、ちょっと長すぎてのんびりしすぎている感じもするし、一瞬のカット(例えばハグしたりする所)を3方向から撮影しておいて、編集で同じ瞬間を三回連続してみせる(上手く説明できない・・・)なんていうウザったい編集もあったり、何よりも終始鳴り続ける音のデカイ音楽がウザったかったりして、見ていて、時々げんなりして、ちょっと呆れてしまったりもした。

確かに陰鬱な音楽を流して主人公の心象表現を手伝うのも勝手だし、それも演出の一つだから別に良いのだけど、正直終始流れ続けているのは耳障り。

しかし、役者と脚本演出が見事に噛み合っていて非常に見応えのある作品になっているのも事実。追い込まれる主人公の姿を見事にエドワード・ノートンが好演している。周囲に対する不信感。信用したいのに信用できない憤り。

数々の感情が入り乱れる最後の24+1時間。

全体的に会話シーンが多く、ちょっと話しすぎかとも思うけど、まぁそこまで気にならなかったし、ラストの親父によるモンティのその後の人生設計を映像にあわせてナレーションするのや、モンティが鏡に向かって様々な人種に対する批判を並べるシーンなど、かなり凄いシーンもあった。

だけど、何だかラストまで一定の調子で進んで盛り上がりの無いまま、最終的にあのラスト。拍子抜け。

(評価:★3)

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