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[コメント] ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明(1991/香港)

銃と武術の戦いは、欧米列強・近代化と中国文化との戦いであると同時に、『男たちの挽歌』をはじめとするガンアクションへの挑戦状だろうか。 2011年10月30日DVD
ねこすけ

初めてこのシリーズを見たのは『天地大乱』で、それ以来随分と時間が経った。

今改めて見て、ついでにwikipediaなんかで中国の歴史を簡単に調べてみたりすると、この時代の面白さが良く分かる。そして、その上で映画を見直すと、単純な功夫映画という枠を遙かに超えた面白さがあったことに気付かされる。(そして歴史の勉強をサボった自分を改めて恥じるわけだが。)

「銃に武術は勝てない」というテーゼは、そしてそれでも(銃と、そしてそれが象徴する近代、欧米列強という対象と)戦うフェイフォンの姿は、香港ノワールと呼ばれるガン・アクションに対するツイ・ハーク流の挑戦状だろうか。

そう思うと、こういう比較は下衆なのは承知で思うが、ハリウッドがどれだけ真似ようとしても真似きれないものがここに描かれている。ギミックの使い方一つ取っても(あのハシゴ上での決闘の面白さ!)、そう簡単にあの発想を真似することはできない。

今日までのあいだに、いわゆる「ワイヤーアクション」を用いたアクション映画は、一体どれだけ量産されただろう?

だが、この映画が示したことのどれだけをそれらは受け継げているだろうか。技術的にはともかくとしても、という点で。その意味で、この映画の一挙手一投足すべてに、思想が宿っていると言っても、過言ではないのかもしれない。

(評価:★5)

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