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[コメント] スーパーサイズ・ミー(2004/米)

映画館で上映する程か否かははっきりとした答えが出せないが、それでもマイケル・ムーア辺りからのドキュメンタリーの勢いに、マクドナルドがプラスされたその企画だけで(商業としては)勝ち。 2005年3月14日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「商業として勝ち」と書いたのは、本作が一本の(ドキュメンタリー)映画として面白いか否かは、少し答えに困るからである。だって結果分かってんじゃんさ。これほどまでに結果が明確な物を見せられても、そこに意外性等は生じない。勿論「予想通りに進む」事を楽しむ事も不可能ではないし、「安くて手頃だから」と安易に手を伸ばし、いつの間にかその色に染まっていく現代人が、いつまでも「当然」と思い続けられるかどうかは、確かに定かではないので、非常に価値のあるドキュメンタリーではあると思う。

ただ、そういったジャーナリスティック、と言うかシリアスな考えなんかよりも「マクドナルドを食い続ける」と言うコンセプトが、圧倒的なインパクトを誇っている為、やっぱり、そこから「当然の結果」が導かれても、監督自身がやってる行動に対抗し得るだけの「面白味」は産まれてない、と思う。

ま、何だかんだ面白いとは思ったし、値段につられて牛丼だの豚丼だのハンバーガーだの食い漁ってる現代っ子の俺も、当然気にすべき映画ではあるね。うん。

でも、何だかんだ一番怖いのは、この映画をあくまでポップカルチャーとして捉えてみて、その数週間後にはマクドナルドのバーガーを食いながら「あーそういえば『スーパーサイズミー』とか言う映画あったよねー」になり、その数ヵ月後には映画の存在すら忘れられるかもしれない、と言う事だろう。

物資に恵まれた現代で、ちょっと100円玉出せばバーガーが食える。そんな時代に、マクドナルドを食い続ける『スーパーサイズミー』。観客は、この映画を一体如何に捉えたのだろうか。

もし、この映画を単なるポップカルチャー、或いは「面白そうなドキュメンタリー」としか捉えて居ないのならば、上映後に「怖いねー」と笑いながら出てくる人、まさにその楽天的な考え方こそ怖いのかもしれない・・・とか言いながら、俺は今日も豚めしやらバーガーやらカップラーメンを食い漁る訳です。ビバ大量消費社会!(アホ

先進国だからこそ持ち得る経済的豊かさ。その背景に存在する大量消費と言う欲望。その結果が生み出す肥満と傲慢。『スーパーサイズ・ミー』と言う映画は、マクドナルドを含めた現代のあらゆる食文化に対して危機感を煽っている。と、同時に、こうしてポップカルチャーとしての売込みをせねば売れない、つまり「危機感を煽る」事もまた大量消費の一部になってしまっている、と言う無限ループ。

本作上映後にマクドナルドは、カロリー一覧表をプレートにしくペーパーの裏に印刷している。健康やダイエットが商売として成り立つ。

同時に、本気の危機感も商売として売らなければいけない現実。

嗚呼、悲しいかな。

ま、そんなゴタク抜きにして、見ていて十分に楽しめた(他人のゲロを見て楽しむのもアレだが、でも実際、マクドナルドでバーガーを十数個買い、積み重ねて喜んでいた俺からすれば他人事でもないと同時に、滑稽で仕方が無いんだよね・アホ)ので、映画として何ら問題は無く思えた。

さーラーメン食おうっと(ぉぃ

(評価:★4)

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