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[コメント] ワンス・アンド・フォーエバー(2002/米)

この映画に一点を捧ぐ・・・・。いや、宣伝に1点。映画には2点というトコ。 2002年6月22日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







予告で泣いた。初めての経験。

去年の夏、その一年近く前にはじめて「特報」と名のつく『パールハーバー』の予告編を見たとき、興奮と感動、そして期待・・・映画を見る前に感じる全ての感情がねこすけの肌をあわ立たせ、これだけ素晴らしい「予告編」を見たのは初めてだ!と思った。まぁ公開が近づくにつれて期待は薄まり、蓋を開けると「戦争」というものに「ラブロマンス」と名をつけた陳腐な三角関係映画で、唯一の見所の戦闘シーンも戦争のそれではなく、あくまで「アクション映画」のそれでしかないという悲惨できだった(ハンス・ジマーの音楽には感動したし、真珠湾奇襲の時に、野球少年の頭上を飛ぶ零戦や、爆弾投下を上からみた描写など視覚的興奮は溢れていた)

そしてこの映画、、、最近どうもメジャー作に期待をすることがなくなった。それは去年の夏からのこと。

去年の夏といえばメジャー話題作、超大作がずらりと夏から冬にかけてめじろ押しだった。

そして期待していた真珠湾奇襲映画が底抜けに終わり、女性主演映画なんちゃかんちゃらの映画も肩透かしに終わった。

去年の超大作ひしめくなかのメジャー作で面白かったと感じたのはソマーズ様の炸裂B級映画『ハムナプトラ2』、宮崎のおっさんのロリ願望に乗り移られ、千尋に恋してしまった『千と千尋の神隠し』、細かいカット割でアクションを台無しにしていようと、かっこいいから許せる『キス・オブ・ザ・ドラゴン』、そしてそこからまぁまぁ悪くない『バニラ・スカイ』などなどだったが、果たして絶賛することができたのはほんの一握り。

それよりも我が広島でひっそりと単館で公開された『リリィ・シュシュのすべて』や、異例のロングラン(なんと現在も公開中!)の『アメリ』などが素晴らしいと思えた。あっ、8月に見たダーレン・アロノフスキー様の『レクイエム・フォー・ドリーム』もお忘れなく。

そしてはっきり、その夏からメジャー(広島では段原サティなど?)で公開される作品はことごとく肩透かしが多かった。

しかしこの映画、、、、なんと予告で泣いたのだ。初めての経験。

しかも宣伝によるとこによると「これは戦争映画ではない、愛の物語だ」だとか「そして・・・敵も同じ想いだった事」と宣伝していた。

ブラック・ホーク・ダウン』を見るとき、敵兵をきちんと描いてるかと思ったらアメリカ兵の綺麗事物語を見せつける駄作を経験していたので、この『ワンス・アンド・フォーエバー』には最近のメジャー映画館公開作の中では一番期待作だったかもしれない・・・。

が、蓋を開けてびっくり・・・・。なんじゃこりゃ?なめてるのか?

さすがは『パールハーバー』の脚本家!と書いてやろうかと思ったが、まぁ『パールハーバー』よりも許せる映画ではあるかもしれない。

メル・ギブソンもまぁ許そう。カメラマンのバリー・ペッパー(?)も戦場で邪魔なのに兵士が「邪魔だよ!どいてろ!」って非難しない姿も百歩譲って許そう。アメリカ軍に黒人が異様に少ないのもこの時代の軍のことはあんまり知らないのでどうこういえない。

銃器設定も見た感じ、変なとこはないと思われ。

しかし・・・「敵も同じ思いだった」はどこへいった?敵を描いてたのか?描いていたといえば・・・ベトナム人民解放軍のことなんざこれまたよくしらないから、突っ込めないけど、あんな作戦会議のしかただったの?

もうちっとましな地図とか用意しないのかね?

戦闘シーンもリアルといえばリアルだけど、冒頭だけ。冒頭からフランス軍の兵士の首もとの肉が吹き飛んでカメラに血が飛び散ってくる。

しかしその惨酷画写を木漏れ日(?)や、砂埃などが美しく彩る。

映像美とまではいかないが、なかなか美しい。

そして見方までもミスで焼き尽くしてしまったナパーム弾・・・。

それくらいじゃないか?

リアルな戦闘シーンもだらだらと続いて、M16の音がこだまするだけ。戦闘シーンがただだらだら続いて「待ってる妻の心境をどこで描いてるんだ?」と思ったら、描いてるのは、「手紙配達」で鼻の穴広げてないてる黒人女性、不自然に泣いてる白人女性、などなど。

これだけ?と思わせる画写。さらに戦争中に子供の画写あった?「パパはいつ帰ってくるの?」とかやれよ!

もう少しなにかないのか?妻と兵士の愛だけではなく「親子愛」も描けよ。

いくら戦闘シーンがリアルだったとしても、この映画は役割を果たしていない。「敵兵の想い」はこの際一応おいておいて考えてみても、「兵士と妻(または子供)」の愛をもっと描けたのでは?待っている人の心理面をもっとえがけたのでは?

まだ『プライベート・ライアン』で軍服きたやつらがやってきて、ライアンママに通告してライアンママが力なく座り込む姿の方が説得力があったといえる。

さらに戦場での兵士もただ「戦って」「帰りたい」だけ。

確かに『シン・レッド・ライン』のように兵士を描ききる必要はこの映画ではないかもしれないが、戦闘を途中で嫌がって泣き出す兵士とかやってもいいんじゃねーの?

これじゃ本当に「アメリカ万歳」じゃないか。そこにきて敵兵をちょとしか描ききってない。

敵兵として描いてるのはラストシーンでの台詞での語りとそしてあの手記だけ?もうちぃと描けるだろ。「アメリカ兵もベトナム民兵も同じ気持ちだった」の割にアメリカ兵の方が気持ちが強く見えてしまう。

もうやめてくれ。もっとマトモな戦争映画が見たい。

映像・・・4☆☆☆☆ 音楽・・・3☆☆☆(普段の音楽はいいが、時折入ってくる『ブラック・ホーク・ダウン』の冒頭みたいなイスラムちっくな曲は意味あるの?)

総合・・・1☆

我が友人と話していて『ブラック・ホーク・ダウン』の話になった。(その友人は映画の感想をのべるとき「最高!」とか「面白くない」の一言で片付けてどこがどうだったと語ろうとしない)

ねこすけ「あれは駄作だったよねー」

友人「あぁ、ほんとあれは全然面白くなかったクソだよね」

ねこすけ「ホントクソだよね、戦闘シーンはリアルだけど、なんであんなにアメリカ万歳なんだろうね」

友人「ほんま最悪よね、戦闘シーンだけつなげただけなんだから映画とえんよ」

ねこすけ「えっ?あれはそういう映画じゃん。けどそれでいて敵兵をほとんど描いてない地点で終わってるけどね」

友人「いや、まじであの映画ダメよね。あんな戦闘シーンだけじゃアクション映画としてダメだよねー」

ねこすけ「お前あの映画どういう映画か理解してるのか?」

えー、なんか自分を棚にあげてあたかも「ねこすけは理解している」と書いてるように見えますが、、自分がいいたいのは

「戦争映画にエンターテイメント(またはカタルシス)」を求めるか?ってこと。

もしそういう人がこの『ワンス・アンド・フォーエバー』を見たなら・・・どう感じるのだろう?ちょと興味ある。

(評価:★1)

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