コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] バッドボーイズ2バッド(2003/米)

超ド派手な『ポリス・ストーリー』のリメイクですか? 2003年11月18日試写会鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







あの丘のバラックをぶっ壊しながら突っ切るシーンは明らかに『ポリスストーリー』のパクりかオマージュ。どうでもいいけど、ハリウッドのネタ不足は益々深刻になってきていると思われる。

作品的にはこれぞハリウッド、これぞマイケル・ベイ!と言う感じであろか。派手な映像、派手な演出、丁寧且つスピーディな編集(編集はメチャクチャ上手いと思う)。ただ、如何せん上映時間が2時間半と言う長さで、完全に中だるみ。ブラックユーモア(死体ネタから下ネタ)満載に爆破にカーチェイスに銃撃戦の連続と言う疲れる内容。そんなもん2時間半も見せたがるのは北村龍平くらいのもん(=例『あずみ』)かと思っていたが・・・かなりがっかり。

しかも、この2時間半、ドラマはコメディのノリに押しつぶされているので、結局マジなドラマを感じれるのはラスト30分くらいから。しかし、観客は既にそれまでのド派手なアクションの連続とブラックユーモアの連続に疲れきっている。確かに、テンポもそこまで悪くはない(けど、かつてのマイケル・ベイのテンポは感じられないけど)のだが、さすがに中だるみしてしまう。

ストーリーは正直言ってよくわからない。変に練りすぎている感がする。この手のアクション映画でここまで練る必要性を感じられない。アクション映画は単純で痛快だから面白いのだと思う。主役コンビはドジりながら物をぶっ壊しながら(情報源も殺しながら)少しずつ確信に迫っていくのだが、その過程が冗長であり、しかもその中に色々詰め込んでいるせいで疲れてくる。

ギャグはある程度外してはいなかったとは思うが、正直言ってPG-12で正解。だけど保護者が一緒だと笑えないので12歳未満は親に黙って一人で見た方がいいと思う。っていうかそうしろ。じゃないと苦笑しか出来ない。

結局、ようやくストーリーが山場を迎えて盛り上がりを見せ始めるのはDEAのおとり捜査がばれて妹(asフィアンセ)が人質に取られてから。それまでのシリアス、というかマイク(ウィル・スミス)のラブロマンス的な葛藤や、マーカス(マーティン・ローレンス)の妹や娘に&自らのインポに対する悩み部分も一応きっちり描いてはいて関心は出来るが、いくらしっかり描いていても作品のテンションからノリに流されている様にしか見えず、あまり上手いとは言い難い。

だから、ドラマ面が盛り上がるのはクライマックス前なのだ。ようやく盛り上がる葛藤。妹(フィアンセ)が誘拐された・・・「一緒に生きて、一緒に死ぬ。一生バッドボーイズ」(ちなみにこの台詞、ウィル・スミスが言うから決まるんであって、マーティン・ローレンスじゃホモ臭い台詞に聞こえるかもね)という台詞には思わず涙しそうになった俺が居た(←単細胞生物)。

つまり、どう考えてもマイケル・ベイはかなりの実力者で、演出が現在のメジャー監督の中では桁外れに上手いのだ。だから『ザ・ロック』の様な単純明快アクション且つ軍人としての誇りを描きぬく様な、熱くて爽快な映画を撮るべきなのだ。この作品に熱さは一応あるものの、コメディ部分に押しつぶされている感が否めない。

しかし、その胸を熱くしたのも束の間、舞台がキューバに移ってからは話がとんとん拍子に進み、結局館を爆破して、あとは『ポリスストーリー』もどきして地雷原でキスしてエンドロール。っておい!

今まで散々派手なカーチェイスに銃撃戦繰り広げておいて、人質をあっけなく奪還したと思えば(この人質の奪還があまりにすんなり行き過ぎて拍子抜けだった)、あとは館吹っ飛ばして終わりですか?あまりにあっけなすぎませんか?観客2時間も待たせておいてこのクライマックスですか!?と、マイケル・ベイとジェリー・ブラッカイマーの首根っこを掴んで問い詰めたい。

もしかして、クライマックスって、手抜いた?それに敵役にも魅力を感じきれない。

しかしながら、演出はハリウッド最高級。まぁマイケル・ベイだからこれくらいやって当然、って感じなのだろうけど・・・。とにかく編集が凄い。音楽は微妙にダサい箇所もあるが良い方だとは思う。ちなみに音楽担当は『アルマゲドン』のトレバー・ラビンな訳だが、個人的にはハンス・ジマーのド派手な曲を聴きたかった。劇中にも何度か熱い音楽は流れてきたが、全体的に作品のノリとテンポを重視している(そのくせ上映時間は2時間半という・・・)為、どうもたまに外し気味に思える箇所もたまにある。

しかし、アクションシーンほとんどの、位置関係が把握し易く、且つスピーディな編集には恐れ入った。噂の高速道路のカーチェイスも『マトリックス レボリューション』より派手にやってんじゃないのか?と思うほど(実際、毎日の交通量がハンパじゃない道路を4日間封鎖して撮影したそうだ)の壮絶さ。っていうか、おめーら壊したいだけだろ。車落として吹っ飛ばして。けど、その間をするりするりと抜けてまわる撮影は凄いし、弾丸見せは少々ダサいとは思ったが、ガラス瓶を突き破る瞬間等は割と好き。

銃撃戦も、市街戦で派手にやってくれる。臨場感抜群な上に、ここでもやはり、丁寧且つ早い編集。上手い(ただ、早すぎるから好き嫌いが別れるかもしれないけど)。マイアミ市民はご苦労様、と言う程派手に吹っ飛ばしている映像には唖然とするばかり。ただ、クライマックスの屋敷の襲撃は如何な物かと思うのだが。

結局脚本じゃないかな?作品全体に流れる空気とノリは凄い良いと思う。しかし、変に練りすぎの脚本のせいで無駄なストーリーが構築されてしまっている気がする。上映時間はせめて2時間にしてくれないと中だるみしまっせ。

全体的に、マイケル・ベイの演出はまぁまぁ良かったと思うが『アルマゲドン』や『ザ・ロック』の時の冴えは見られない。アクションシーンの派手さと編集の見事さには圧巻だった。変な特殊効果を使わずに、物を火薬で吹っ飛ばして撮影する(しかも細かい隙間をするりと抜けて周る撮影にはマジに興奮!)派手なアクションには素直に興奮できるし、好感は持てる。

とりあえずマイケル・ベイには変な映画作らずにこういう映画とか『ザ・ロック』みたいな単純で熱い映画を撮って欲しい。

って、気付けば俺も駄文を無駄に長く・・・失礼。

要するに、撮影、編集、演出等々はトップレベルなんだから、下手に練った脚本がもったいないと思う、って事だ。それからシリアスがコメディ部分のノリにかき消されてるのも残念だし。

ま、この映画に心理描写が皆無な事に突っ込むのだけはよしておこう。監督は興味なさそうな所だから。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)わっこ[*] ゆーこ and One thing[*] トシ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。