人は分からないことを知りたがる．一つの例で言えば謎を解きたがる．けれども、何でもかんでも知りたがるかと言えばそうではない．自分の興味のあることだけを知りたがる．更に付け加えれば、自分の興味のあることを自分の都合のよいように知りたがるものなのね．

主人公がテレビのリポーター．報道番組はと言えば、視聴者が知りたがることを知りたがるように報道する．この男は仕事の面ではそれが嫌になって、死人となり変わった．倦怠期の夫婦関係を終わらせたかったのもあるけれど．

妻は夫の死がなんとなく謎めいているので、夫と最後に会った男を自分の夫とは知らずに探し求める．ついにホテルで寝ている男を探し出したのだけれど、それが夫だと知って「知らない人です」と答えたのね．皮肉な結末、死んで喜んでいたとは言わないけれど、いなくなってくれて清々した面が妻にもあったはず．離婚だのなんだかんだが煩わしくて、男の方も姿をくらますことにして、逃げ回っていたのでしょうから．

おそらく実写フィルムと思われる処刑シーンが織り込まれました．知るとは、真実を知ることであり、報道関係者には真実を報道することが求められている．大統領か首相か忘れましたが、嘘と分かっている答えを求める報道など意味がないのです．

皮肉な結末はこう言っている．自分の都合の悪いことを知ろうとしないようではいけない．真実を知ること、真実を報道すること．

祈祷師のインタビューでしたっけ．意味有りげな言葉がありましたが、それは後日じっくりと考えてみようと思います．それに、妻が知らない人ですと答えたのに反して、学生の彼女は知っていると答えた、この事も．