この映画は分かりやすい．一生を研究に明け暮れた大学教授のアンリと、字も書けない無学のサーカスの娘マルグリット、この二人の対比によって、何かを訴えかけている．

「奇跡が彼を救うわ」アンリに純真な想いを寄せるマルグリットに拠って、この彼女の言葉の通り、奇跡が起きる．「なによ、こんなもの」そう言って、マルグリットが悪魔の手から奪い取ったアンリの証文を窓から捨ててしまうと、結果的に、悪魔は追い詰められて、最後は自殺してしまう．これが、マルグリットが起こした奇跡．

さて、悪魔とアンリが起こす奇跡は、錬金術．それに続けて、原子爆弾を思わせる様な、塵から爆弾を作ることに代表される、文明の進歩、学術の進歩に伴って生み出される奇跡、潜水艦とか、飛行機が描かれるのだけど．

無学なマルグリットが純真な心で起こした奇跡、お金と欲に絡まった、悪魔と大学教授のアンリの考え出す奇跡、この二つの奇跡の対比は、文明の進歩によって生み出される、様々なものが、本当に人の幸せに寄与するものかどうなのか、よく考えてみて欲しい、こんなふうに訴えかけているのだと思う．