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[コメント] 家族の肖像(1974/仏=伊)

家族
ルミちゃん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最後の、コンラッドから手紙が来たところを、まとめてみよう. 手紙を受け取る. コンラッドからの手紙と知って、メイドに上に行って観てくるように頼む. 手紙の封を切って読む.もうお会いすることはないでしょう. 爆発音. これで良いはず.

1.老教授はコンラッドと一緒に暮らしたかった.帰りを待ちわびていた. 2.手紙の内容は、一緒に暮らすことはないでしょう. 3.けれども、手紙の内容とは裏腹に、コンラッドは帰っていた. 4.コンラッドは、死んでいた.自殺か、他殺かそれは分からない.

最後の方の成り行きは、当時、実際に起きた事件を連想させるものがあって、他殺かもしれないと思わせるものがあるけれど、支離滅裂の家族、何も解らないと考えるのが正解でしょう.

この映画、理解の苦しむと言うより、理解しようがない.映画全体に描かれたものは、理解しようがない家族. 家族とは一緒に暮らすこと、あるいは、一緒に暮らしたいと思う人間関係.ちなみに、この老教授、元は科学の教授で、今は、家族の肖像画の研究をしているみたい.訳の分からない家族との付き合いと、家族の肖像画の研究を引っかけて、家族の肖像画の研究をしても、家族とはどう言うものかは分からない、どうも、こんなことらしい. 回想の中で、母親が彼に、お爺さんを理解してあげて、こう言うのだけど、彼は上辺だけのものを捉えて答えた.お爺さんには、コックとメイドとネコが居る、こう答えて、母親の言葉を理解しようとしなかった.家族とはどういうものなのか、理解しようとはしなかった. 晩餐の後、テーブルを囲んでコーヒーを飲みながら、コンラッドはこう言う.一緒に暮らしているからと言って、友人と言えるのか. まとめれば、一緒に暮らしているからと言って、それが家族とは言うことは出来ない.一緒にSEXしたからと言って、それを家族ということは出来ない. (家族とは、互いに理解し合う、心の結びつき、その結果としての信頼関係、なのだけど)

家族とは、どう言うものなのか、孤独な老教授が、訳の分からない、理解しようがない家族に求めたものは何だったのか、それを通して考える.言い換えれば、理解しようがない家族に、家族の付き合いを求めた、その結果は、全く理解しようが無いものであった.老教授がコンラッドに求めたものは、家族の肖像画の研究、その研究に対する理解であったようですが.母親の愛人であり、娘とも関係があった男が死んだ.その死を、母親の方は自殺といい、娘の方は他殺という.この家族が理解できるのか. 家族とは?

画商が画を売りに来ている場面からこの映画は始まる.昨年オークションで、3000で落とした、と老教授が言うと、そんなはずはない、私は3500で入札した、と画商が言う.おかしい、オークションに対する不信.それに、この画商、怪しげな奴等らしい. そして最後が、コンラッドの不審な死.

映画全体に描かれたものは不信であり、その対になる信頼、信頼を派生する理解ではなくて、理解のしようがない家族、あるいは理解し合うことのない家族. 母親があまりにもひどいから、何となく娘の方に、まともな所がありそうに思えるけれど、本当にそうなのか.嘘つき、身勝手は全員同じである.金銭的に裕福な家庭、遊び回っているだけで、なんらまともな仕事をしているわけでもない.マリファナを吸い、母親の愛人と関係を持つ.彼女に対して、何か理解できるものがあるかと言えば、やはり何も無い.なにか有りそうにみえて何も無い、不信だけがあり理解できるものが何もない. くだらない映画.

(評価:★5)

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