コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ピクニック(1936/仏)

お節介
ルミちゃん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ピクニックに来た幸せそうな金物屋の一家、でも娘の婚約者は、どうみても、どうしようもない馬鹿.許嫁なのか、娘か好きになったのか、親が誰かの紹介でつれてきたのか、誰が、どんな理由でこんな男を結婚相手に選んだの?、と言いたくなるけど.

川辺のレストランに居た二人の男、彼らもまた、誰がどう考えても、すけこまし.娘と男、二人に何があったのかよく解らないけど、ピクニックのある日の出来事が、二人にとって忘れられない出来事になった.娘は、馬鹿の男と結婚はしたけれど、けれども、互いに相手のことを、忘れることはできないでいる. でもね、あなた、馬鹿な男はしかり、この男と結婚したにしても本当に幸せになれたの、この男が好きならば、なぜ、あんな馬鹿と一緒になってしまったの、と、言いたくなるけど. でもね、続けて「あなた、ちゃんと考えて結婚しなかったから、こんなことになってしまったの.自分の結婚について、自分でもっと考えなくちゃ」こう、言いたくなる. つまり、自分の結婚について自分でしっかり考えて決めること.見方を代えれば、他人の恋愛、結婚についてとやかく言うことは、おせっかいに過ぎない. おせっかい、それ自体は作品の中に全く描かれない、原作が短編であり、ジャン・ルノワールもこの作品をなるべく短く納めようとした(長編にすることができない)のは、この辺にあると思うのだけど.

ちょっと視点を代えて、この映画、自然を描いているのは誰にでも分かる、ジャン・ルノワールは自然主義.自然主義のジャン・ルノワールが自然をどのように描いているか、考えてみよう.

以下、三省堂国語辞典より しぜん自然[1][名](1)人手の加えられない、ありのま まのようす。天然。(2)人や物の本来の性質。(3)人間を取 り巻いている外界。(4)哲学で、人間をもふくめた因果 的世界。[2][形動](1)むりのないようす。▽―な姿。(2)お のずとそうなるようす。▽病気が―によくなる。[3][副] ひとりでに。おのずから。▽―そうなってしまう。

何も考える必要はない.ジャンルノワールは自然を、ものすごく自然に描いている. DVDの解説でね、フランス文学者らしい人が、この作品を奇跡と称しているけれど、奇跡なんかではない.描かれたものが本当に自然なのね. 原作では天気のよい日の出来事、でも、撮影のロケは毎日雨ばかり.自然を描いたこの映画、だから自然の成り行きに従って、雨の日の出来事に、ジャン・ルノワールはシナリオを変えてしまった.

もう一度、国語辞典の(2)人や物の本来の性質。 人や本来の性質とは、すけべ.つまり、自然の中に溶け込むと、SEXしたくなる. 透き通るような碧い海、誰でも全裸で泳ぎたくなる、そう言うものではないのかしら.

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ジェリー[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。