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[コメント] ルパン三世 カリオストロの城(1979/日)

久しぶりに観たら、意外なことに銭形警部はかっこいい男だった。
NAMIhichi

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







執念深く、哀愁が漂う、仕事に生きる男。ついでにおちゃめな男でもある。うーん。とっつぁんがかっこいいと思うなんて、自分はまた年をくったのか。

と、密かにしょんぼりした。でも、よく考えてみたら違った。ルパンも自分が知ってるルパンと少し違った。これはきっと「ルパン三世」という作品に、クラリスという宮崎監督特製キャラが入っている為なのだ。クラリスを前にすると、いつもは我が儘でお色気たっぷりの不二子も普通のお姉さんだし、ルパンに至っては「おじさま」なんて呼ばれて喜んでいる。おまけに銭形警部、彼はもっとまぬけでうるさい男ではなかったか。清純で可憐なクラリスの存在に、みんないつもの調子を狂わされ、大人しくなってしまうようである。恐るべしクラリス。人はこれを「クラリス効果」と呼ぶ(大嘘)。

思うに、「ルパン三世」というアニメは子どもでも性的なにおいが感じられる作品なのに、この映画はまるで文部省(はもうないけど)推薦のアニメのように健全で潔癖なものになっていることが違和感を感じさせる原因かもしれない。欲望まるだしの彼らの方が面白いし、魅力的である。最後の、ルパンがクラリスを抱きしめようかと葛藤するシーンも、見てはいけないものを見てしまったような気がした。はっきり言って見ていて恥ずかしかった。女をセックスの対象にしないルパンはあまり魅力がない。

考えてみると、私の同世代の男性はだいたいクラリスに思い入れがある。「クラリスみたいな女の子がどこかにいると思う?」といつも聞いてみたい誘惑にかられる。でも、それはお互い様というもので「じゃあ、次元みたいな男がどこかにいると思うのかよ?」と逆に言われたら悲しいのである。しかも彼らが「やっぱクラリスだよな〜」という会話をするのはたやすいだろうが、私が友達と、たとえば「やっぱキャプテン・ハーロックはかっこいいよね〜」という会話をするのは不可能に近い(だってみんなハーロックを知らない)。そう考えると羨ましい気がする。いる筈がないと思うからこそ魅力が増すキャラというものがあり、人それぞれに思い入れがあるものだ。結局、この作品はクラリスが主役であり、だからルパンものとしては物足りないのだろう。

ハーロックで思いだした。この作品とは全く関係がないが、最近見たハーロックは声が井上真樹夫さん(ルパンではたしかTV二作目あたりから五右衛門の声)ではなく、山寺宏一さんが担当されていて少しがっかりした(山寺さんがよくないというわけではなく)。この作品を見直して、井上真樹夫さんの声の魅力を改めて実感すると共に、こういった作品がいつまでも色あせないのは、声優の方々の魅力に負うところが大きいと思った(小林清志さんや、増山江威子さんはもう六十代くらいでしょうか)。

(評価:★3)

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