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[コメント] ベティ・サイズモア(2000/米)

「いつかどこかで誰かと出会える、そういう予感が・・・」
NAMIhichi

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







って、モーガン・フリーマンのことだったんですね。

彼が最後に「俺はあんたのために来た」「あんたは一人で生きられる、あんたには自分がある」と言ったとき、そう思いました。

自分でそう気づいたり、思ったりすることも大切だけど、そう言ってくれる人に出会うのも素敵なことです。この映画の場合、ベティの出会った相手は自分の夫を殺した人間で、そんな出会いは通常最悪ですが、彼が夫を殺さなければ彼女の自立もあり得ません。終わってみれば、夫を殺してくれた人間=解放者という図式ができあがり、女性が経済的にだけではなく精神的にも自立するということがテーマだったと分かります。この解放者である点を考えると、モーガン・フリーマンが演じた殺し屋に何となくリアリティがないところが寓話っぽい感じを与え、強い印象を残すことに成功しています。

見ている最中に、何となくチェーホフの「可愛い女」という小説を思い出しました。この小説の主人公は病気というわけではないし、結末も“自立”といったこととは関係がないものの、一つだけ似ているところがあります。それは、ベティのように自分というものを持たない、滑稽で哀れな女を決して嘲笑していないところです。ベティを軽蔑した目で見るとき、この映画とは仲良くなれません。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)jean けにろん[*]

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