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[コメント] ランド・オブ・ザ・デッド(2005/米=カナダ=仏)

「死霊のえじき」から20年。待望のロメロゾンビ登場を祝福するかのごとく打ち上げ花火でスタートさせるとはなかなか粋じゃないか。内心「たぁ〜まや〜!」って感じで、今年は花火大会へ行かなかったし、まさかここで見られるとは。得した気分だ(ほんとかよ!)。この夏、花火大会見逃した人は是非ゾンビと一緒に花火見物といこうじゃないか。
クワドラAS

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とまあお祭り気分で鑑賞に臨んだわけだが、結論から言えばイマイチだった。

第一に、怖さが全く無い。ゾンビに人格を与えたのは「死霊のえじき」のバブで既に実証済みで、後日譚を描く本作ではその覚醒した人格をどの様に展開させていくかが主軸になっている。「死霊のえじき」から何年経っているかはわからないが、ゾンビと人間の比率が40万:1からさらにゾンビ比率が増加してる事は間違いないだろう。数で言えば地球の支配者はゾンビだ。しかし人格発生によって、数だけではなく、富・権力という貧富の差に対しても我慢ならない事態に発展させている。この天空に向かって聳え立つタワーをゴーストタウンから見上げるゾンビ、という構図は「天国と地獄」を髣髴とさせる。このようにカニバル本能全開志向のゾンビから農民一揆的ゾンビに路線を変えてみせたロメロに「苦肉の策だったか」と言わざるを得ない。あまりにも“ゾンビ”と言う存在を人類のメタファーとして詰め込み過ぎたのではないか。ゾンビ映画を裏読みするのもそんなに嫌いでもないが、俺としては“ゾンビ”とは、ただひたすらに人肉を求め彷徨い歩き人類を脅かす低能な化け物として存在して欲しい。こんなやつらにはなりたくないと。だからこそ対ゾンビバトルに興奮するのであって、「ゾンビ」「死霊のえじき」にはそれがあった。今回は、人肉がまだ目の前にあるにも関わらず、主人公いわく「どこか行き場所を探しにいくのさ」みたいな感じで、何か人間との共生すら思わせる。なんか噛まれてゾンビになってもそんなに嫌じゃねえなみたいな。

まあでも、近年の新鮮味がなくなりつつあるゾンビ映画に、新たな一石を投じたロメロはやっぱ大御所だと思う。この作品で賛否両論の渦が巻いて、さらなるゾンビ映画の発展を促すターニング・ポイントになればと思う。

しかし結構グロシーンは頑張ってたね。首なしゾンビかと思いきや皮一枚繋がっててムチのように首をしならせ噛み付いたり、口ん中手入れて内臓つかみ取りとか、レズってる女二人のところへ「俺も入れて3Pやらせろ〜」みたいなヤツだとか。その辺はB級ノリで楽しませてもらいました。

もしやる気あるんだったら続編作ってね!あーだこーだ言いながら結局ファンですから。

(評価:★4)

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