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[コメント] 28日後...(2002/オランダ=英=米)

明らかにロメロの終末ゾンビ観を受け継ぎながら、御大の専売特許である密室・籠城ものからロードムービー仕立ての形を採り、音楽・映像面でも上手い具合に利いたブリティシュテイストが功を奏し単なる模倣に終わらず独自性を獲得していると思う。絶望的状況の中でも、あくまで“HELLO”に拘る前向きっぷりにシビれる。
クワドラAS

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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正直、初鑑賞時はちっこい画面のミニシアターで、尚且つ前方の観客がやけに座高があり字幕も遮られイマイチな環境だった。しかもその時は激しいゾンビングアクションを期待しての入場だった為、「んー、ん?どうなのよ」みたいな肩透かし感があった。だが不思議なことにDVDで2度3度と鑑賞するうち、作品の持つ“静”の部分に惹かれていった。冒頭、多角的に見せる無人のロンドンを始め、感染者達との生死を分ける争いの合間にうっとりするような風景、それはウィルスに侵された人間界とは別次元にいる草原を走る白馬や咲き乱れる色とりどりの花たち。これらの美しく力強い生命を映し出す事によって、後半における軍隊のパートがより活きてくる。人間の、これは仕方ないけど醜いところがね。

ラスト、修羅場をくぐり抜け、のどかな高原地帯で“HELLO!"を連呼する主人公たち。決してハッピーエンドとは言えないものの、希望的観測を捨てない彼らの姿勢は清々しく美しかった。

キビシイ状況が続くが最後は僅かにでも開放感が味わえる、という俺が一番好みな展開にピッタリ合致した作品だ。

単にグロかったりゾンビをバンバカ撃つだけでは(まあそれも大好きに変わりないんだが)もう満足できなくしてくれたとも言える作品だった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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