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[コメント] 田園に死す(1974/日)

赤子の“赤”、肌襦袢の“赤”、血の“赤”。とにかく「赤」という色がとても効果的かつ威圧的。
peaceful*evening

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







赤という色は本能色。人間はこの色を見ると欲情しやすく、食堂の客回転も早い。(食欲増進効果もあるらしいが)。

産まれたばかりの赤ん坊は目が見えないというが、それは視力が未発達なだけで、おぼろげなイメージとしては“産まれた瞬間”の映像を捉えることが出来るだろう。だとすると、産道の暗闇から光を見ると同時に、血の「赤」というイメージは強烈に脳の奥底に誰でも眠っているものなのかもしれない。無意識のうちに、「母親に対するコンプレックス=赤い色」になったのか、この映画には本当に様々な赤い色が強烈な印象だった。映像よりもむしろその“赤い色”に威圧された。何もかもが赤に見え、逃れることの出来ない母親を象徴しているように。

一見、珍しい映像の羅列だけで実験映画だけのようにも思えるんだけど、「過去の自分」「現在の自分」の対話というのが何とも心ニクイ。ただ答えは見つからず、いつまでも恐山に自分を置き「お母さん死んでください〜」と永遠に歌い続けるのか。それともこれを映像化して母コンプレックスにオサラバ出来たのか。

「頼むからオサラバしてくれ!」

と、2人の息子を持ちながらそう思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)甘崎庵[*] ピロちゃんきゅ〜[*] kazby[*] 新町 華終[*] torinoshield[*]

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