少し前に、父が死んだ。

そんな中、たまたまこの映画を観る機会があった。開始15分で球場ができてしまったあとは正直眠い目をこすりながら観ていたシーンも多々あったが、クライマックスでレイ(コスナー)の父が出てきたときには、もう十分に分かっていたはずなのに、キャッチャーのプロテクターを外すシーンだけで涙が溢れ出てきてしまった。また、それだけでも既に十分なのに、最後のあのキャッチボール…。とても多忙な、陽の明るいうちに家にいた記憶なんて本当になかった父が、私が小学5年の時にたまたま早く帰ってきて突然「キャッチボールでもするか」と言い「なかなかええ球放るやないか」と言ってくれた、そんな父との生涯唯一のキャッチボールの記憶が昨日のことのようによみがえる、本当に心の底から込み上げるものを感じるラストだった。

劇中、レイの父がレイに「天国はあるのか」と聞かれて「あるよ。そこは夢が叶うところ(Field of Dreams)だ」と語るシーンがあったが、自分にとっては父の在りし日の姿をこれほどまでにリアルに実感できたこの映画は、まさにその映画自体が『Field of Dreams』そのものであった。