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[コメント] 鉄人28号(2004/日)

信じて進め。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画の主人公は鉄人ではなく間違いなく正太郎少年である。彼を中心とした構成の前には、鉄人でさえも添え物に過ぎない。もちろんその辺りに不満を抱く人もいるだろう。「オレはこんな『鉄人28号』を観に来たんじゃない!」と。その気持ちもよく分かる気がする。確かに。特撮の見所も圧倒的に冒頭のブラックオックスだろうし。

けれどこれを正太郎少年の映画として観てみたらどうだろう。ていうか、私はそういう風に観てしまったのだけれど、最初間違いなくヘタレだったあの少年が、「僕に鉄人を操縦させてください!」と自分から発心するまでの心の動き、その描き方は並大抵のレベルじゃないと私には思えた。正直父親を巡るエピソードの辺りでは、ごくありふれた話だと分かっていても涙してしまうほどだったし、一見余計にも見える級友とのエピソードなんかもよくよく考えると決して無駄ではない。すごく効いていたりする。その辺り私はこの冨樫森という監督の演出が大いに気に入ってしまったのだ。

そういう意味ではあの鉄人も単なるロボットとして観れば何の面白味もないモノなんだろうけれど、正太郎少年、そしてその父親の分身として観ればこれが結構泣けてしまう。やられたと思ったあと再び立ち上がってブラックオックスに向かっていくところなんか分かっていても妙にジーンとくるものがあったし、最後KOするところなんかジョー並みのクロスカウンターだし。そういう何でもないところが昭和へのオマージュとも受け取れてしまうくらいに好意的に観てしまった。あと、操縦する機械が鉄人の動きに合わないところなんかアニメどおりだなぁと逆に嬉しかったりとか。

実は今度は息子と観てみようかなと思っている。そんなこと言うと「こんな駄作のどこがいいの?」と疑問に思う人もいるだろう。けれどそこは少年のお父さんの言葉ではないけれども「信じて進め」。自分が気に入った映画だもの、その映画と自分を信じて進んでいこうと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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