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[コメント] シンデレラマン(2005/米)

大恐慌時代、家族を養うために、超人的な精神力でボクサーという仕事を全うした伝説の男を描く、見事な傑作。
ナム太郎

ただ、映画自体は家族への愛を軸にしたボクシング映画ともいうべきものである。それほどこの映画におけるボクシング・シーンには素晴らしいものがあった。本来は家族愛をより効果的に謳いあげる伏線としてのボクシング・シーンであったはずなのだが、迫力、臨場感ともに満点のその演出は、本来の軸を忘れさせるほどの力をもって私を引き込んだ。

が、その軸が決してブレなかったのはやはりロン・ハワードの力だろう。昔からどんな題材もうまくこなす才人だった彼だが、この作品でまた一皮むけたような気がする。もうすでに十二分な名声を得ている彼の、更なる進化にも心からの拍手を贈っておきたい。

拍手といえば、役者ではやはり圧倒的にラッセル・クロウがうまい。彼が演じる主人公は、不遇な時代を通じて自分にとって最も大切なものは何かを悟る。それは愛すべき妻子である。そしてまた同じように彼は、自分はボクシングという仕事しかできない男であることも悟っている。そんな彼のボクシングに対する思いは、決してロマンなどという非現実的なものではない。もっと現実的な生きる糧としての仕事がボクシングなのである。そのように、生々しいまでにボクシングや家族揃っての生活というものに執着する主人公を実に見事に演じきったと思う。

その彼が見せる、妻子への優しい表情も印象的な、実に素敵な映画だ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)トシ[*] Keita[*]

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