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[コメント] ただ、君を愛してる(2006/日)

これはきっと、その当時の宮崎あおいでしか作れなかった、成立しなかった映画だ。そういう点では、ある意味奇跡の映画。
ナム太郎

正直言うと、映画の出来としては微妙だ。演出はカメラワークを含め、映画というよりむしろTV的な手法が多用されているし、物語的にも持っていきたい流れとしては分かるのだが、最後の展開はやはり不自然だと言わざるを得ない。

役者に関してもそうだ。玉木宏黒木メイサと言えば、今ならそれなりの存在感は示すのだろうが、当時の彼らはやはり役不足の感が否めず、その存在が映画に厚みを加えているとは言い難い。さらに言うなら、その他の学友の扱いの中途半端さも決して感心できるものではない。

しかし、この映画には、そんな幾多の不満を跳ね返す強い柱がある。それが宮崎あおいの存在であることは言わずもがなだが、とはいうものの、個人的にはいくら彼女でも、それが今ならまた違ったんじゃないか、これも当時の彼女だからこそのあの輝きだったんじゃないかという気はしている。

非常に抽象的な物言いで申し訳ないのだが、役者と役との間にもやはり旬というものがあると私は思っていて、そういう意味で彼女とこの作品はとても幸福な出会いをしたし、これはきっと、その当時の宮崎あおいでしか作れなかった、成立しなかった映画だと思う。そういう点でこの作品は、ある意味奇跡の映画と言ってもよい。

それにしても宮崎あおいって役者はすごい。メガネも、アヒル口も、たどたどしい話し方も、バタバタ歩きも含め、あの少女的な振る舞いの全てがメガネを外すあの瞬間のためだったのだと思うと、もうこれは参りましたと素直に降参するしかない。

あともうひとつ、あんな普通のキスシーンでありながら、あんなもの見せられたら、玉木宏には激しい嫉妬心を抱かざるを得なかったことも素直に告白しておきたいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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