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[コメント] アイアンマン(2008/米)

想像よりもずっとよい映画だったことに驚いた。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







面白い映画であろうことは当然想像していたのだが、これほどよい映画であるとは思っておらず、そういう意味では非常に嬉しい、刺激的な映画だった。

まず冒頭の、モクモクと煙をあげながら荒野を走る車のカットと、主役の紹介も終わらぬうちに突然の襲撃が始まり、そこで主役に瀕死の重傷を負わせたうえで彼がどんな人物であったのかを語るという展開の巧さに唸った。いや、実をいうと、これほどまでの巧さを見せた演出はここがピークだったのかもしれないのだが、それでもこの冒頭の畳みかけは、この映画に的確なリズムと期待を与えるに充分な、会心のスタートであった。

またそこまでを先に見せて、次にこの映画の主役であるトム・スタークと、併せて重要な鍵を握ることとなる秘書のペッパーについて語られていくわけだが、ここで特筆すべきは、ペッパー役のグウィネス・パルトロウが驚くほど可愛く撮られているという点であろう。つまりここで観客はやがてはこの2人が恋におちるであろうことを予感するわけだが、そのためにはプレイボーイである主役のトムでさえもやがては彼女に惚れるであろうという必然性が感じられなければならない。そういう意味でも本当に素晴らしい笑顔だったし、終盤、彼女が鍵となるデータを不正入手する際のジェフ・ブリッジズとのやりとりも、彼女でなければ出せない絶妙の表情が見られて見事だと思った。

さらに、この映画の主役がロバート・ダウニーJr.という、もうベテランの域に達した名実ともに演技派として知られる役者であることに驚いたことも、遅ればせながら記しておきたいと思う。これは例えばウルトラマンを渡辺謙がやるようなものかなと思いながら見ていたのだが(またそれはそれで見てみたいものだが)、しかしこれも観終わってしまえばもう彼以外には考えられない配役であったと心底思えるところがすごい。聞くところによると、これも当初は若手俳優がクレジットされていたようだが、原作コミックの大ファンであったロバート本人からの強い売り込みもあって彼に決まったそうだ。ここでの彼は、そんな彼自身の強い決意のようなものも感じられる大変な熱演で最高だった。そしてやはり結論としてこの映画は、彼というキャスティングがあってはじめてここまでの高みに達した作品であると、そう思わずにはいられない。

もちろん、気に入らないところがないわけではない。特にクライマックスの戦闘シーンが、夜の闇という背景に飲み込まれて今ひとつ迫力に欠ける出来であったところなどは大きく不満を抱いていたりもするのだが、それでも最後のあの決め台詞が全てをチャラにしてしまう。

ヒーローものの映画化はやはりこうでなくてはならない。また、これを見たからには『アイアンマン2』も見ずにはいられない。そう思わせてくれるシリーズものの楽しく、見事な幕開けであった。

(評価:★5)

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