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[コメント] レスラー(2008/米=仏)

ランディ・“ザ・ラム”・ロビンソンは、世間的には「過去の男」であり、言うなれば「レスラーとしての今」しか生きられない男だ。しかし彼自身は、決して「過去の男」として生きたりしていない。確実に「レスラーとしての今」を生きている。そこが泣ける。
ナム太郎

久々に2度観た映画。2度目のほうが、より泣けた。それも冒頭から。

いいシーンも多い。もちろん、1人娘との諸々のやりとりは言わずもがなだが、自分は特にマリサ・トメイとの語らいの数々が好きだった。彼の「今日の傷」を見て彼女が痛むかと聞くと彼が「息をするとね。でも、大歓声を聞くと忘れてしまう」と答えるシーン。さらには彼が「独りがつらくて、君と話したくなった」と彼女を呼び出すシーン等々…。

もちろん、その感動の柱がミッキー・ロークの存在そのものであることは間違いない。ここにはランディ・“ザ・ラム”・ロビンソンという虚構の人物の存在を借りて、紆余曲折はあったが、結局は役者としての今しか生きられない彼自身の生き様の悲哀もが刻まれているようであった。

そんな彼の姿をダーレン・アロノフスキーはドキュメンタリーさながらに追う、追う、追う。その距離感。撮影の色合いも素晴らしかった。さらに蛇足かもしれないが、マリサ・トメイのオスカー女優という過去を生きてはいないその姿に、昔からのファンとしては嬉しさをこえて誇らしさすら感じたことも書き添えておきたい。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)jollyjoker[*] 3819695[*] けにろん[*] DSCH 週一本[*]

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