コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 劔岳 点の記(2008/日)

自宅で観始めてほどなく、この作品を劇場で観なかったことを後悔した。が…。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本当に素晴らしい撮影である。近年これほどのスケールでロングショットを撮り切った作品はなかったであろう。長年第一線で活躍し続け、今回は監督にまで進出した木村大作の、まさに執念を感じる恐ろしいまでの仕事ぶりに、やはりこれは劇場で観ておくべきだったと激しく後悔した。

しかし、どうだろう。ドラマが佳境へと移るにつけ、その思いは徐々に薄れていき、クライマックスともいえる手旗信号のシーンに至っては、もうどうにでもしてくれと、半ば呆れ顔で画面を見つめていたのも事実である。要は、演出があまりにも稚拙なのだ。自然描写の素晴らしさに対し、人物描写の何と平板なことか。決して多くの登場人物がからんでいるとは思えないのに、脇役はおろか、柱たる柴崎ですら満足に描けないのだから、物語が膨らんでいくわけがない。さらに音楽の、あの無残な使い方。個人的にはあれだけの自然描写を、もっと音にも反映させてもらいたかった。そのほうが、より豊かな映画体験となったのではと、こちらもとても残念だった。

そう、残念なのだ。これだけの素晴らしい素材が、これだけの熱意で映画化されながら、この程度の作品でしかなかったことがとても残念なのである。でもまぁ、この程度の映画に満足でもしたのか、「某映画祭だけは賞をくれなかった」などと大々的に語っている時点で、この人は監督としてはここまでだなとも思うのだけれど。

***

本筋とは関係ないが、宮崎あおいにだけは驚いた。何に驚いたって、その色気に驚いた。そしてまたこの人を怖いと思った。可愛い顔をして、本当に魔性の女だな。でもその可愛さに、男はやられてしまうのだけど。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。