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[コメント] ステキな金縛り(2010/日)

必ず最後に愛は勝つ。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭の殺人シーンがエミ(深津絵里)の夢かと見紛うほどに生きていない点や、弁護を依頼された彼女と「しかばね荘」の家主夫婦とのやりとりなどを見ていると、あまりの惨状にさじを投げたくなったりもしたのだが、それが最後にはさめざめと泣いてしまったりしているのだから、映画というものは本当にわからない。

特に、父親(そして愛犬)を亡くした者には、彼岸へ往った者との再会というシチュエーションは、わかっていてもグッとくるものがあった。それがまた直接的な再会ではなく、物語のキーともなった「音」によるものである点なども、なかなかニクい。人によっては、この再会のシーンを蛇足と捉える人もいるだろうが、本作をエミ(深津絵里)の弁護士として、また人間としての成長物語と考えたときには、むしろこの父親との再会こそが本作の肝で、それまでの法廷シーンは全てがその伏線であったとも言えるのではないか。少なくとも私は本作をそのように受け取ったし、またそのうえで、本当に気持ちのいい涙を流すことができた。「親思う心にまさる親心」ともいうが、親はあの世でもまさに今も自分のことを見守ってくれているのだと思うと、本当にその愛情が沁みてくるいいシーンだと思った。本作で久々にその元気な姿を見たKANの歌ではないが、やはり「必ず最後に愛は勝つ」。これがいいのである。

加えて、本作の深津絵里の何と可愛いことか。少々甘いかもしれないが、彼女をこれほどキュートに撮りあげてくれたというだけでもプラスの評価をしてしまうというものだ。

冒頭でも述べた点や、(幽霊が)見える、見えないという点のもたつき、「映画」としての面白みに欠ける点、あるいは三谷幸喜キャプラワイルダーへのしつこ過ぎる傾倒に対する興ざめ感等々、数多くの欠点があることは否めないが、それでもあれほど気持ちのいい涙を流させてもらったのだもの、今回はあえてそういった欠点にも勝るプラスの部分を積極的に評価しておきたいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)サイモン64[*] けにろん[*]

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