コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018/日)

まずは序盤のコギャルたちのバカ騒ぎに感動。それは決してノスタルジックな過去の振り返りからではなく、それを演じた若い女優たちの、凄まじいまでの躍動感に対して。が、結果的にそのバカ騒ぎがラストに至るまでの大きな伏線として効いてくる。そこがいい。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この物語を動かすのは7人の女性だ。しかし、その描かれ方は4通りのパターンに分けられる。

まず1つ目はSUNNYのリーダーであり有無を言わせぬカリスマ的存在である芹香。彼女はここで、生きたいのに生き抜けない、その余命をかけて物語を動かしていく柱としての描かれ方。2つ目はそんな柱たる芹香の悪友である裕子、心、梅の3人。彼女たちは、決して幸せとはいえない今を生きなければならない存在としての描かれ方。3つ目は奈々の、誰もがうらやむその美貌にただよう光と影という、彼女にしか持ちえない唯一無二の、そしてそんな彼女だからこそ動かしえた物語の転換役としての描かれ方。そして最後4つ目は、6人目のSUNNYとして加入した奈美と脱退させられた鰤谷の、過去と現代の物語を終着点へと向かわせる舵取り役としての描かれ方であるが、このいわば「起承転結」とも表現しうるパターン構成に前述の伏線が効いてくる妙が、単なる群像劇で終わらない秀逸さを本作に与えている。

過去篇も現代篇も総じて役者陣は好演を見せるが、誰か1人と言われれば、個人的には鰤谷という難役を演じきった小野花梨を挙げたい。正直彼女は決して美貌で売るタイプではないだろうが、だからこそ生きる役柄というものが映画には確実に存在していて、そういった自覚のもとにこれを演じた彼女の将来には大いに期待したい。

ただ、このように記していくと、手放しで絶賛しているように思われるかもしれないが、正直クライマックスの遺産分配のシーンにだけは、やはり違和感を抱いてしまった。ましてやそこにありきたりな台詞が加わると、せっかくの夢物語に水を差されたようでもあった。正直ここだけは、もう少し違う方法での心や梅への希望が示されるほうがよかったのではないかと思う。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。