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[コメント] ビブリア古書堂の事件手帖(2018/日)

原作は古書にまつわる蘊蓄(うんちく)をベースとした短編ミステリーで、滅法面白い。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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本作はそんな原作の第1巻から夏目漱石太宰治という、誰もが知るメジャーな作家の本にまつわる2つの話がミックスされ、1つの話となっているのだが、本作の根本的な失敗は、まずこの原作の合作にあると思う。

要点を端折ったあらすじのような物語の中に鍵となる過去の話だけが結構なボリュームで放り込まれるものだから、尺の関係かミステリーとは思えないほど登場人物が限られ、例えて言うと、金田一の手を借りずとも等々力警部でも解決できてしまうような推理レベルになってしまった。また、クライマックスの追いかけっこの場面でのスピード感の欠如もコメディかと見まがうほどであり、ここも作品の価値を著しく低下させている。

ただ、夏帆を中心とした不貞の場面は、相手役が相手役だけにと言ったら少し意地悪だが、本作の肝ともいうべき素晴らしさで、三島有紀子には一度嫌になるような大人の恋愛ドラマを撮ってほしいと思っていた。すると、次作で彼女は『Red』という作品を、しかも夏帆の主演で撮ってくれて、ここにつながっていく作品としてこれがあったと考えると、これはこれで価値あるものだったと考えてもよいのではないかと思っている。

(評価:★3)

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