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[コメント] 男はつらいよ 望郷篇(1970/日)

シリーズの、のちの作品群の方向性を決定づけた作品。
ナム太郎

シリーズ5作目。前2作を他人に任せ、満を持してこの作品に戻ってきたであろう山田洋次のシリーズに対する真摯な思いが伝わる作品で、寅のキャラを含めて『男はつらいよ』の世界観が丸く大きくなった印象を受けました。

聞くところによるとマドンナの長山藍子をはじめテレビ版のレギュラーが多数出演していたとのことで、長期的なシリーズ化を視野に入れた(世界観の)再構築がなされていたのかも。それほどそれまでの4作とは(若干)空気が違う作品ではありますが、しかし逆に言うとこの空気こそが自分が昔から慣れ親しんできたシリーズの空気であり、そういう意味ではのちの作品群の方向性を決定づけた作品とも言えるのかもしれません。

肝である泣き笑いのツボもしっかりと練られているし、北海道で汽車を追いかけ、その先の駅で親分の息子と語るシーンもすごくよく、さらに初期さくらのファンとしては、彼女の活躍ぶりも嬉しい秀作でした。

と言いつつ、考えてみたらこの頃の山田洋次って『家族』を撮ったりだとか、とにかく絶好調だったんですね。そういう意味ではこの頃から彼自身の映画監督としてのスケールが大きくなり、それがこの作品なんかに顕著に表れただけなのかもしれませんが。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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