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[コメント] ライムライト(1952/米)

色々な意味でつらすぎる作品。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







元々舞台劇として設定されていたのかと思うほど室内でのシーンが多い。特にヒロイン(クレア・ブルーム)が床に臥す前半は、アパートの1室での会話劇が中心。その単調さを避けるためか、部屋自体が比較的広いワンルームになるよう設計されているのはさすがだが、それでも延々とチャップリン自身の人生訓を聞かされ、ヒロインがようやく病抜けするまでに1時間強を要するのはさすがに長い。

また、彼の十八番であるパントマイムがほぼフルタイムで「記録」されるのも、その芸のすごさや歴史的価値は感じるものの、映画としてはあきらかにその流れを止めるもので、むしろそれほどまでの持ち芸への執着には痛々しさすら感じてしまったし、その芸を見せるためヒロインにサクラを使わせる自虐演出も非常につらいものがあった。

そのような中、私が最も心打たれたのは、ヒロインのオーディション風景を斜め後ろからの照明をメインとして本当に美しく切り取ったシーン。そこには新星誕生の説得力が溢れるとともに、置き去られ、忘れ去られていく老兵の哀しみがにじみ出ており、まさに本作の白眉だったと思う。

***

余談だが、パントマイムといえばやはり『天井桟敷の人々』のジャン・ルイ・バローを思い出すのだが、チャップリンの中にもそれへの対抗意識があったのだろうか。

(評価:★3)

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