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[コメント] デンジャラス・ビューティー(2000/米)

むかし変身前のサンドラになりたかった、そしていま全ての女のコを愛しいと思う私のために。
は津美

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







サンドラ・ブロックは思いのほか綺麗にはならないんだけど(モトの素材うんぬんはおいておいて)それでいいんだ、と私は思う。そんなにとびきり綺麗になっちゃって優勝とかしちゃったら「違うだろ!」と思ってただろう。ひかえめな恋愛エピソードにしてもそう。一番大事なとこは違うだろ、って。

告白すると、かなり昔ではあるけれどこの映画の変身前のサンドラみたいな、男っぽくてガサツな(女を感じさせない)大人になりたかった。「ミスコンなんて!」って思う気持ちだけは変身前のサンドラだったかもしれない。ミスコンがどうこうというより、ひとより綺麗になりたいとか、男の子にモテたいとか、そういう気持ちや方向性が嫌で嫌で、そんな自分の一部を切り捨てたかったのだと思う。

でもやっぱりそれって自然な事じゃないんだよなあ〜、残念なことに。もちろんそれが自然なひとはそれはそれでいいと思うんだけど私の場合は違ってて、やっぱり綺麗になりたいし、モテたいし。そういう「女子の生きざま」をかわいい、愛しいと、年くって思えるようになってきた。自分の中のそういう「もう一人のわたし」を肯定してあげられるようになってきた。

主人公は彼女達を昔の私のように軽蔑しちゃいなかっただろうけど、自分とは違う存在だとは思っていたハズ。だから、ミスコンの女のコ達が彼女を助けようと、主人公が彼女達を助けようと差し伸べる手に、バラバラだった心の中の「わたしとわたし」がしっかりと手をつないでいるような、素敵な幸福感を感じてた。

私の場合はまず、自分の中で「もう一人のわたし」と手をつなぐ事から始めなくちゃいけなかったけど、やっぱりそれを忘れたら外に向かっても手をさし出す事が出来ないだろうと思う。自分の中のそういう部分を肯定出来なかったら、きっと私は一生「彼女たち(=私自身でもある)」の素敵な部分を知る事が出来なかっただろうし、知ろうとも思わなかっただろう。価値観の違う人間とわかりあうってほんと大変だけど、素敵なことだ。

私はこの映画は「サンドラが美人に変身してミスコンで大活躍★」という娯楽作であると同時に、そういう作品なんだと(勝手に)思ってる。

やー、完成度としてはイマイチなとこいっぱいあって、こんなテキトーなまとめ方しないでもっと上手く作れた素材だとは思うけどね。(マイケル・ケインも勿体ない使われ方してるしなあ〜。)

(評価:★5)

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