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[コメント] シェルタリング・スカイ(1990/英)

自分の解釈と、 語り尽くせない宇宙
いくけん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







シェルタリング・スカイ

訳せば、閉じられた天蓋。

でも、本当に、人間を保護してくれるような天蓋などあるのだろうか。

不毛の丘で、ポートとキットが愛し合う場面。

物悲しい。

実際の世界は、生存競争の原則が支配する厳しいもの。

いや、もっと、混沌とした、不条理なものかも。

キットはポートを失うことによって、それを思い知る。

放浪の旅。

しかし、ベルトルッチの手に掛かると、この物語が、厳しいだけでなく、何か

暖かな風合いがでてくる。

立ち去り難い。

母の胎内にいるようなぬくもり。

映画の柔らかい光が、全てを優しく包みこんでくれる。

このあたりが救いだった。感動的だった。

自我の中に、ささやかな天蓋は存在すると思った。

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少し長くなりますが、印象的なシーンを5つばかり。

●港のシーン多数の子供がどことなく集まる。

クレーン撮影が絶妙、夕暮れ前の光が良い。軽い倦怠感が良く出ていた。

●カフェのシーン

青年のボーイが、移動すると、ふと少年にかわっている。 リンクしたような世界観。

●コップの水に赤チンをたらすシーン

まず、色彩が美しい。 病原菌の存在を意識させる。 ポートの将来の死を、赤色で暗示するみたいで恐い。

●イギリス人親子

この映画の隠し味。醜いけど、いいスパイスになっている。 どこまでも追って来る、西洋文明の残滓。

●キットが書きかけの戯曲?を、アラビア風切り紙にして、部屋に飾るシーン

キットの精神が、根底から崩壊していくみたいで恐い。 光が暖かだったので、余計に恐かった。

(評価:★5)

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