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[コメント] フェリーニの道化師(1970/独=仏=伊)

自由の幻想』、フェリーニバージョン!
いくけん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







○遠景の記憶を辿ってみると、プチ・『8 1/2』然とした景色が甦る。しかし、観直してみると、道化師を巡った、フェリーニ版映像連想ゲーム!まさに、『自由の幻想』inフェリーニ。このまま映画がつっ走ってもよかったが、ドキュメンタリー・タッチの展開から、甘い、いつものフェリーニ・タッチに。同じラテン系の監督でも、煙(けむ)に巻かずに、我々、観客を魅了するサービス精神が、何とも嬉しい。ニニ・ロッソ然としたトランペット、客席へのスポット・ライト、浮かびあがる二人の道化師、そして、消えていく二人の道化師の遠景に、ただ、うっとり。そして、記憶の輪廻。。。

○ファースト・シーンの端正な仕上がりの美しさ。夢から覚めた子供の眼前に、霧の中から現れる、サーカスのテント!正装したフェリーニ映像!魅せるね!うーん、パーフェクト!

○映画の中盤、列車から顔を出す、ニヒルでハイエナ然としたナチスの将校、に爆笑!あんた、ちょっと、頬のメイクが濃すぎるよ!手塚治の漫画に本当に出てきそう。そっくり!制服の襟がキ印って!(カタカナ知ってるのかな?)そういえば、フェリーニも若かりし頃、風刺画を書いていたよね。この世はうつせみの幻、みたいな世界観といい、伊太利亜−中国−日本と、ホット・ラインが繋がっているみたいだ。不思議。

○でも、考えてみると、第二次大戦開始時には、フェリーニも20代に入っていて、ファシズムの冷酷・悲惨な場面を、色々と見てきたはず。なのに、敢えてサラリと、純然と、漫画風にナチスを描く点が凄い。そうか、楽天的なフェリーニ・タッチ=思考も、フェリーニ自らの意思で選び獲ったものなんだ!!人間フェリーニの生き様に、ハッとした。ジンときた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] 水那岐 ina モモ★ラッチ[*]

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