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[コメント] サスペリアPART2(1975/伊)

若い頃に観て本当に怖かった映画だが、感受性の摩耗したおっさんになってから観るとアルジェントの真剣さに感動せざるをえない。
ペンクロフ

ジャッロの血なまぐささ、暗闇や背後への原初的恐怖、大胆な映像のトリック、誰もが人形に抱く恐怖、なんでもいいからビビらしたれと言わんばかりの意味不明な人形ゲラゲラ突撃。これら雑多なテイストが奇跡的なバランスで映画に詰めこまれている。主人公と女記者のやりとりはコメディそのもので、おんぼろフィアットのドアが開かなくなってキャンバストップから出入り、上げても落ちるバイザー、底抜けシート。これらリラックスして楽しめる愉快な場面と残酷な殺害シーンがシームレスに繋がっており、病的な狂気の印象を強めている。

アッと驚く映像トリックこそあれど、こんな支離滅裂でムチャクチャな話を、情熱込めて真剣に、工夫を凝らして撮っている。この真面目さには感動せざるをえない。狂った映画ではなく、狂人が真剣に作った映画だ。普通の人ならカラクリ人形の突撃、からの一撃で返り討ち(しかも主役じゃなく脇役の場面だ!)とかアホらしすぎて撮れません。しかしだからこそ、最高のショック場面に仕上がっている。映画ってこんなに自由だったんだ。感動した。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)いくけん

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