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[コメント] ゴジラ(1984/日)

1984年、この映画の公開には本当に興奮させられた。当時、マスコミは「3G決戦」などと興行戦争を煽った。同時期公開の『グレムリン』や『ゴースト・バスターズ』あたりと同列に扱われている事に屈辱を感じながら、初日に地元・高松東宝へ走った。
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画は残念な出来だった。当時『ゴジラ』(1954)をはじめ主要な東宝特撮映画をすでに観ていたオレは、この映画にはガッカリさせられた。駄作と認めたくなくて、どうにかこの映画を擁護する理屈を考えようとしたが、やはり無理だった。

カメオ出演して映画を台無しにした武田鉄矢には、いまだに感情的なしこりが残っている。これはホントに、今でも彼を見るたびに苦い思いが脳裏をかすめるのだ。でも石坂浩二は悪くなかった。この両者の違いをわかる繊細な神経が、この映画の作り手には欠けていた。

スーパーXは、ガキだったオレから見てもダサかった。メーサー車のバッタもんみたいな赤いレーザーを吐く車両には怒りすら感じた。そういえば、中野昭慶の特撮はあんまり好きじゃないんだよな… などと呟いた当時のオレ。あの頃、オタクなんて言葉はまだ知らなかった。

一番納得がいかなかったのは、首相を演じた小林桂樹が涙ぐんでいたことだ。この時、すでにゴジラは劇中の人物にさえ同情を買う存在になっていたのだ。やりきれぬ気持ちになった。

これ以上ないくらいにテンションを上げて劇場に特攻したオレは、敗れてなお死にきれぬ複雑な心境で家路についた。今思えば、あれはオレが大人の階段をひとつ登った日だった。しかし、オレはそんなもの登りたくなかったのだ。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)YO--CHAN おーい粗茶[*] tkcrows[*] ゼロゼロUFO[*] プラスネジ[*] 甘崎庵[*] ina

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