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[コメント] 晩春(1949/日)

オレの勝手なイメージなんですが、小津監督は笠智衆の娘がヨメに行くだの行かないだのといったどうでもいい話ばかりを一生かけて丹念に丹念に撮りまくった、狂気性満点の人。この映画も狂ってる!
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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最終的に原節子が結婚するお相手の佐竹熊太郎君は、なんと一度たりとも姿を見せない。父の再婚話を聞いた原節子が渋々お見合いを承諾した直後、笠智衆と歩きながら杉村春子がシャアシャアと「お見合いからもう一週間よ」。刺身を食う食わないのどうでもいい春子・智衆トークはしつこいほど描いてたのに(いや確かに面白かったけど)、肝心なところで大変な省略である。

鎌倉から東京へ向かう電車の中の父と娘。自転車でちょっとしたデートを楽しむ原節子とハットリ君。この二つのシーンは妙に長く感じた。あんまり長いので、たぶんこれは何か重要な事を伝えようとしているに違いないと思いつつ、その意味はサッパリわからなかった。

笠智衆原節子の決心を促すために打った、一世一代の再婚芝居。なんだか美談ふうに終わっているけどいいのだろうか。そんなウソついてまで娘をヨメに出さねばという感覚は理解しがたいのだが、まあそれはそういう時代でしたという事で納得しよう。だけど父のウソを知ったあと、原節子は屈託なく佐竹君を愛せるのだろうか? 旅の宿で笠智衆が娘にカマした感動的な説法も、ウソの再婚話がバレた瞬間にその力を失ってしまうのではないだろうか?

晩春』は非常に面白く、一瞬たりとも退屈しない映画だった。でも、わからないことだらけだった。この映画、オレにはちょいと早かったのかもしれません。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)きわ [*] ジェリー[*]

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